ワット・タムクラボーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワット・タムクラボーク(วัดถ้ำกระบอก、竹洞寺と翻訳可)はタイ・サラブリー県のプラプッタバート郡にある仏教寺院の名前である。モン族の難民キャンプがある事で有名。建立は1958年。寺はブーンルーン尼によって、上座部仏教の研究所として建てられた。1975年、寺はチャムルーン警察軍曹の援助で寺に昇格した。
[編集] 歴史
モン族は元々ラオスの少数民族であった。インドシナの共産化を阻止しようとしたアメリカ軍の支援を受け共産党系のラオス軍・ラオス解放戦線と衝突した(秘密の戦い)。しかし、結果的には解放戦線側の勝利に終わり、モン族は難民化し、大多数がタイ領へ逃げ込んだ。
1970年代ごろから寺はモン族難民の受け入れを開始していたが1990年代初頭にルーイ県バーンウィナイ(地名)にある難民キャンプが財政上の問題でモン族難民の受け入れを中断したため、この寺にモン族が集まり始めた。1992年バーンウィナイの難民キャンプが閉鎖されたため、モン族のほとんどはこのキャンプに集まることになった。
寺のパトロンであるチャムルーン警察軍曹は、当時モン族難民の間に流行していた麻薬の使用を危惧し、積極的に麻薬のリハビリテーションを難民に対し行った、これにより麻薬の使用は少なからず改善された。一方タイ政府は2003年、モン族の難民キャンプ自体が麻薬の市場になっていると判断したため、キャンプを一般社会から隔離した。
アメリカは秘密の戦い当時に、モン族を支援したことに責任をとる形で、2004年ミネソタ州などにモン族の受け入れを表明した。30万人あまりのモン族が輸送されたものの、ほとんどがこの寺にいるという。