ワラジムシ亜目
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ワラジムシ亜目 Oniscidea | ||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||
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種類 | ||||||||||||||||
本文参照 | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Woodlouse |
ワラジムシ亜目(わらじむしあもく、Oniscidea)には、ダンゴムシやワラジムシ、フナムシなどの陸生の甲殻類が分類されている。すべて炭酸カルシウムを含む硬い外骨格を備えており、体節は頭部1節・胸部7節・腹部5節、胸部の7節に1対ずつ計14本の脚を持つ。ワラジムシ亜目はワラジムシ目の下に分類されており、3000種以上が知られている。ダンゴムシとワラジムシの体長は10mm-15mm、フナムシの体長は30mm-40mm。日本国で見られるダンゴムシとワラジムシのうち、人家周辺に見られる普通種は外来種であるものが多い。日本では、外来種を含め約140種が報告されており、現在その研究が進んでいるところである。
陸上で生活するが、鰓で呼吸をしており湿気が必要であるため、岩や木材などの下のじめじめした暗い場所で見つかる。デトリタス食(腐食性)であり、植物性の腐敗物がないと生きていけない。
イギリスでは、在来種と帰化種を合わせて37種が生息している。体長は3mm-30mmで、
- ホンワラジムシ(英名the common shiny woodlouse、学名Oniscus asellus)
- ワラジムシ(英名the common rough woodlouse、学名Porcellio scaber)
- 和名なし(英名the common striped woodlouse、学名Philoscia muscorum)
- 和名なし(英名the common pygmy woodlouse、学名Trichoniscus pusillus)
- オカダンゴムシ(英名the common pill bug、学名Armadillidium vulgare)
の5種類が一般的。
このうち、
- ホンワラジムシ(英名the common shiny woodlouse、学名Oniscus asellus)
- ワラジムシ(英名the common rough woodlouse、学名Porcellio scaber)
- オカダンゴムシ(英名the common pill bug、学名Armadillidium vulgare)
の3種は、日本でも全国に広く分布している。
捕食者に脅かされた場合、硬い外皮を外側にしてボール状に丸くなる種類もある。ワラジムシ亜目に属するダンゴムシなどの名前はこのような能力に由来する。オカダンゴムシの学名Armadillidium vulgareも硬い外皮を外側にして体を丸める哺乳類のアルマジロに由来する。
ワラジムシ亜目を含むフクロエビ上目の種では、メスは繁殖期に胸部腹側に育房または保育嚢と呼ばれるふくろをつくる。この育房は5対の腹卵葉と胸部腹面とでつくられる空間で、体外である。メスは受精卵を育房に産み出し、仔虫が孵化するまで育房のなかで保育する。仔虫は自力で育房から脱出し、これはまるでメスが仔虫を生んでいるように見える。育房のなかは体外であるため卵胎生とはいえないが、仔虫が直接産み出されるという点では「卵胎生的」であるといえる。ワラジムシ亜目に属する種では、育房から産み出される仔虫の形は歩脚が6対であることを除いてはすでに親とほぼ同じで、親のミニチュアである。また、成長や成熟に伴う形態の変化は漸進的で小さく、この点では昆虫における無変態・不完全変態に類似している。なお、飼育下では共食いがみられ、親が子を捕食する、または逆に子が親を食べることもある。
アメリカ合衆国では、この虫のことを何と呼ぶのかを広く調査している。虫の呼び方によって、アメリカのどの地域の出身かが分かるほどだ。例えば、南部では"roley-poleys"と呼ぶだろう。北東部と西部では"pillbugs"と呼ぶ。これ以外の土地ではまた違う呼び名がある。
日本でもワラジムシ亜目の標準和名以外の呼び名がいくつか知られている。 ワラジムシ亜目のうち、ダンゴムシでは、丸虫、手毬虫などいくつかの呼び名がある。丸虫は西日本地域でよく聞く呼び名であり、手毬虫の名は古い文献に登場するが現在ではほぼ使われていない。 ワラジムシは、便所虫というありがたくない名前で呼ばれることがある。便所虫は、地域によってはカマドウマなど他の動物を指す場合もある。古語ではおめむしとも言った。
ピクサー・アニメーション・スタジオの『バグズ・ライフ』では、タックとロールと呼ばれる双子の曲芸師が主人公を助ける役を演じている。この2匹はディズニーのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーで『Tuck and Roll's Drive'Em Buggies』という乗り物になり、不朽の名声を得た。
ワラジムシは、植物を食害することはあまりなく人畜に危害(刺す、噛む、伝染病を媒介するなど)を加えるわけでもないが見た目を不快に感じる人が多く、「不快害虫」として駆除されることがある。ダンゴムシは、人畜に危害を加えることはないが、幼苗を食害することがある。ワラジムシやダンゴムシの駆除は生息場所に毒エサを撒く方法が一般的である。