ヱルトリウム
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ヱルトリウムは、SFアニメ『トップをねらえ!』に登場する宇宙戦艦。日本のアニメで登場した、宇宙要塞を除き地球人の造った宇宙戦艦の中で最大級である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
ヱルトリウム | |||||||||
タイプ | 零等軍艦 | ||||||||
全長 | 70,740m | ||||||||
全幅 | 18,030m | ||||||||
最大高 | 9,400m | ||||||||
材質 | 素粒子「ヱルトリウム」 | ||||||||
乗員数 | 56,000人(最大150万人) | ||||||||
主な 乗組員 |
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武装 |
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艦載機 |
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目次 |
[編集] 概要
地球帝国宇宙軍所属の零等軍艦で、銀河中心殴り込み艦隊の旗艦である。第五世代航宙艦であり、2035年進宙。
船殻をたった一つの素粒子「ヱルトリウム」で構築している(この設定の元ネタは『ノウンスペース・シリーズ』のゼネラル・プロダクツ製船殻だと思われる)ため、理論上は「反ヱルトリウム」との対消滅でしか破壊できない(開口部があるため現実にはそうではない)うえ、「ヱルトリウム」は人工素粒子であるために「反ヱルトリウム」が存在せず破壊不可能とされている。素粒子「ヱルトリウム」は、型のような物を先に作り、その中に「ヱルトリウムのもと」を流し込んで整形される[1]。『トップをねらえ!』第5話には建造中のシーンがあり、プラモデルのランナーのような物に覆われている。
航宙士にはエスパーと電脳化されたイルカを動員。これにより、ヱルトリウム級より前に建造された航宙艦の弱点であったワープ中の亜空間で索敵ができない問題が改善されている。又、第四世代航宙艦(例えばヱクセリヲン級)までのニュートン物理学に支配される作用・反作用で推力を得る方法ではなく、純粋数学を用いて艦の周りの物理法則を書き変えながら航行する思考主推進(イメージ・アルゴリズム)機関が搭載されている。そのため、宇宙戦艦ではお馴染のスラスターが存在しない。 エスパーの姿が映るシーンは1カットだけあり、彼らはピラミッドを用いて能力を増幅している。
バスターマシンに搭載された兵器は第四世代の技術の粋を集めたものであるが、それと同レベルかそれ以上のものが本艦にも搭載されているらしく[2]、おそらくバスターマシン以外では宇宙怪獣を相手に優位に戦える唯一の艦であると思われる。
[編集] 作中での活躍
[編集] トップをねらえ!
本来は地球脱出用に建造されていたが、人類が地球脱出を諦めたため、軍艦として兵装が強化された後にカルネアデス計画(神壱号作戦)銀河中心殴り込み艦隊の旗艦となる。最終話の静止画による戦闘シーンでは、レーザー砲によりかなり多数の宇宙怪獣を一網打尽にしている描写がなされている。当然ながらこの戦闘では無傷だったが、バスターマシン3機のようにテロップで「健在」が示されることはなかった。
[編集] トップをねらえ! NeXT GENERATION
地球帰還後は、テクノロジーと地球を守る目的ですべての艦隊・各種兵器・乗組員を含んだ艦隊ごと凍結状態へ。タシロ艦長やユング・フロイトも冷凍冬眠の状態にある。その際副長が機械化された。凍結状態とはいえ、自動装置による防衛が働いており、何者の解凍をも寄せ付けない。だが、非常時には副長の判断からタシロたちが冬眠から起こされ、ブリッジに呼び出されている様子が描かれている。特に『グレートアトラクター編』の終盤ではシリウス星系にワープアウトし、宇宙怪獣(宇宙超獣)を串刺しにしてグレート・ガンバスターを回収する活躍を見せる。当初この凍結艦隊は地球の衛星軌道上にあったが、のちに赤い天の川へと移動したと推測され、太陽系からは見えなくなっていた。
[編集] トップをねらえ2!
建造中に放棄されたらしい本級(三番艦の可能性もある)が人工惑星・木星として登場している(詳しくは後述)。最終回にて遺跡として凍結艦隊と先端が破損したように見える状態[3]のヱルトリウムが赤い天の川のあった宇宙域から発見される。未だ凍結中であるのか、それとも何らかの意図を持って行動を起こさなかったのか、既に何らかのトラブルで起き上がる事もできず死蔵された状態にあるのか、その点については明言されていない。
[編集] 同型艦
『トップをねらえ!』及びその関連作品にはヱルトリウム級の戦艦が2隻、また艦名不詳の同型艦が2回登場する。
- アレクシオン
- 二番艦アレクシオンは『トップをねらえ! NeXT GENERATION 発掘戦艦アレクシオン編』にて、2480年代後半に当時の銀河連邦によって地球上で発掘される。その記録や科学技術は地球帝国の崩壊と共に失われており、失われた技術の解析はままならなかった。ヱルトリウム光線の代わりにバスタービームを装備しており、また内部にはグレート・ガンバスターが格納されていたと言われている。制御中枢の部品にされたイルカとグリフィス・レイ博士をシリウスに亡命させる為に発進したところで第一部が終了する。
- なお、後の『グレートアトラクター編』においてシリウスにグレートガンバスターがある事からシリウス星系まで到達したと思われるが、アレクシオン自体は確認されていない。
- 木星
- 『トップをねらえ2!』の第3話にて、非常に大型の宇宙戦艦の船体が新たな木星となっている。公式ホームページによれば全高70km、宇宙怪獣との戦闘用に作られたが戦闘に駆り出されず人工惑星となったとの伝聞がある。それが正しいとすればおそらくヱルトリウムの同型艦であり、可能性としては何らかの理由で旧木星宙域で船体を放棄したアレクシオンか、未知の三番艦の建造中の外殻が考えられる。
- 旧地球帝國の崩壊後は科学技術が退化し、ヱルトリウム級の船体製造は不可能になっている。また『NeXT GENERATION』において、25世紀以降の時期までにヱルトリウム級が三隻建造されたとの描写は皆無である。アレクシオンは大気圏内での小競り合いを除けば、宇宙怪獣との戦闘を経験しておらず、また制御中枢が抜き取られて航行不能になっているはずである。シリウス星系を目的地として発進しているが、仮に制御中枢とグレートガンバスターのみが脱出していた場合、アレクシオンが木星となった可能性もある。
- 赤い天の川の戦艦
- 『トップをねらえ2!』の第6話にて、バスター軍団が形成していた赤い天の川から、隠されていた伝説の遺跡群としてヱルトリウム級の戦艦が発見された様子が描かれている。ヱルトリウムは正規のクルーが人工冬眠により数千年単位で存命している為、継続的に戦闘力を保持している。また基本的には地球自体の防衛の任に当たっている事などから、発見された戦艦はヱルトリウムの可能性が高い。なお映像からは僚艦である凍結艦隊の姿は確認できず、月の凍京にエクセリオン級の旧世代の戦艦が32隻程度ささっているのが確認できる。
[編集] 脚注
- ^ 『トップをねらえ2!』で登場したバスターマシン・キャトフヴァンディス(90号)の搬入シーンはこれのオマージュであるとされる。
- ^ 側面のレーザー砲の発射も、従来の艦に比べて滑らかで未来的な発射の描写がなされている。
- ^ 公式設定に従えばヱルトリウムは船体の一部のみが破損する事はありえないため、実際には岩石や宇宙塵の類がこびりついていた可能性もある。ただし『トップ』においては、発売されている資料集や公式の発表の内容等が全て作品内においての真実であるとは限らないので注意が必要である。