三人奴
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「三人奴」(さんにんやっこ)は、リーダーの塚本やっこ(つかもと やっこ 1914年-1987年 )、やっこの妻である市松笑顔(いちまつ えがお 本名 塚本ソデ子 1916年11月3日-2004年3月25日)、笑顔の妹である市松笑美子(いちまつ えみこ 本名 松本年恵 1928年3月4日-1999年1月1日)をメンバーとする三味線トリオ漫才である。
1950年(昭和25年)に結成。1974年に第9回上方漫才大賞を受賞。その後、やっこの実子で弟子である塚本冷奴(つかもと ひややっこ 本名 塚本利一 1950年7月4日-)を加えて「四人奴」(よにんやっこ)となるが、1981年(昭和56年)11月にやっこが引退し、1982年(昭和57年)1月に冷奴改め塚本小やっこ(つかもと こやっこ)がリーダーとなり新結成。
1999年の笑美子の死去、そして笑顔の引退により三人奴は解散。一時小やっこは女性の弟子2人と「奴組」を結成するが、2002年1月に弟子の呉羽とコンビを組み、小やっこ・呉羽のユニット名で現在も三味線漫才を続けている。
一般にかしまし娘、宮川左近ショー、フラワーショウ、横山ホットブラザーズ、タイヘイトリオなど、歌謡曲や浪曲をベースとする音曲漫才が多い中、このトリオは珍しく義太夫節を得意ネタにしており、地味で古風ながら味わい深い音曲漫才を繰り広げた点にある。リーダーの塚本やっこは義太夫節で使用する太棹という通常よりかなり大きいサイズの三味線を持ち、渋いのどを披露した。
塚本やっこは当初太棹を肩から下げて弾いていたのだが、下座の林家とみ(2代目林家染丸の妻)に一流の芸人のすることではないと注意され、以後紐を下げずに弾くようになったという。小やっこもやっこのスタイルを現在まで踏襲している。
名作としては「阿波の鳴門」「野崎村」「松づくし」(松の絵が描かれた何十もの扇子を松の枝ぶりのように広げる芸)がある。また、「親亀の上に小亀を乗せて…」というコミックソングはもともと三人奴のネタであった。この三人奴のテーマソングは市丸の「三味線ブギ」を編曲したものである。