三冠ヘビー級王座
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三冠ヘビー級王座(さんかんヘビーきゅうおうざ)は、PWFが管理・認定する全日本プロレスのフラッグシップタイトル。
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[編集] 概要
三冠とは、インターナショナル・ヘビー級王座、UN(ユナイテッド・ナショナル)ヘビー級王座、PWFヘビー級王座を指す。全日本プロレスを象徴する、同団体で最も権威のあるタイトルとされている。
三冠ヘビー級チャンピオンは三冠王者とも呼ばれ、これに加え世界タッグ王座(インターナショナル・タッグ王座とPWF世界タッグ王座)を獲得した者は五冠王者と呼ばれる。ちなみに三沢光晴は1999年にアジアタッグ王座を含め六冠王に輝いている。
2006年10月14日、ベルトを管理する全日本プロレスが、ベルト老朽化のため1本のベルトとして新調することを明らかにした。現行のベルトは10月29日の福岡大会後に回収し、新しいベルトは2007年2月の両国国技館大会でお披露目となる予定であったが、延期となった模様。
[編集] 歴史
1988年4月15日の大阪大会でインターナショナル・ヘビー級王者であるブルーザー・ブロディとUNヘビー級・PWFヘビー級の二冠王者である天龍源一郎との間で史上初の三冠ヘビー級王座統一戦が行われたが、両者リングアウトで王座の統一は実現しなかった。
ブロディを退けて第18代インターナショナル・ヘビー級王者となったジャンボ鶴田と、天龍を退けて第27代UNヘビー級と第14代PWFヘビー級の二冠王者となったスタン・ハンセンの間で同年10月17日広島大会で2度目の王座統一戦が行われたが、引き分けで王座統一は実現せず、翌1989年4月16日後楽園ホール大会において再戦が行われたが、またしても決着はつかなかった。長く引っ張った挙句の不透明決着にファンが激怒し、会場が騒然となる事態にまで発展した(これがきっかけで、全日本の試合からリングアウト・反則決着が消えていくことになる)。
二日後の4月18日、大田区体育館でジャンボ鶴田とスタン・ハンセンの間で満を持して再々戦が行われた。ウエスタン・ラリアットを避けられロープに激突し、一瞬の隙ができたハンセンを、鶴田が片エビ固めで丸め込みフォール勝ち。かみ合わない試合展開で完全決着とは言えない勝利であったが、初代三冠統一王者となった鶴田は満面の笑みでファンに応えた。
以降、鶴田・ハンセン・天龍などの世代と四天王世代との抗争を中心に激闘を展開。プロレスリング・ノア設立に伴う選手大量離脱以降は、他団体所属選手とのタイトルマッチも行われるようになり、現在まで全日本プロレスの至宝として継承されている。
[編集] 歴代王者
以下の表は、2006年9月3日現在の歴代王者の記録をまとめた表である。王者が王座返上した場合は、次のシリーズで王座決定戦によりタイトル移動が行われる。
それ以外は、すべて前王者に勝利してのタイトル移動。※は防衛失敗。防衛回数の横に△がついているのは現王者で記録継続中。
歴代数 | レスラー | 防衛回 | 獲得日付 | 獲得した場所(対戦相手・その他) |
初代 | ジャンボ鶴田 | 1 | 1989年4月18日 | 大田区体育館、スタン・ハンセン |
第2代 | 天龍源一郎 | 2 | 6月5日 | 日本武道館 |
第3代 | ジャンボ鶴田 | 2 | 10月11日 | 横浜文化体育館 |
第4代 | テリー・ゴディ | ※ | 1990年6月5日 | 千葉公園体育館 |
第5代 | スタン・ハンセン | ※ | 6月8日 | 日本武道館 |
第6代 | テリー・ゴディ | ※ | 7月17日 | 石川県産業展示館、王座返上 |
第7代 | スタン・ハンセン | 1 | 7月27日 | 松戸市運動公園体育館、三沢光晴 |
第8代 | ジャンボ鶴田 | 3 | 1991年1月19日 | 松本市総合体育館 |
第9代 | スタン・ハンセン | 3 | 1992年1月28日 | 千葉公園体育館 |
第10代 | 三沢光晴 | 7 | 8月22日 | 日本武道館 |
第11代 | スティーブ・ウィリアムス | 1 | 1994年7月28日 | 日本武道館 |
第12代 | 川田利明 | 1 | 10月22日 | 日本武道館 |
第13代 | スタン・ハンセン | ※ | 1995年3月4日 | 日本武道館 |
第14代 | 三沢光晴 | 4 | 5月26日 | 札幌中島体育センター |
第15代 | 田上明 | 1 | 1996年5月24日 | 札幌中島体育センター |
第16代 | 小橋健太(現:小橋建太) | 2 | 7月24日 | 日本武道館 |
第17代 | 三沢光晴 | 8 | 1997年1月20日 | 大阪府立体育会館 |
第18代 | 川田利明 | ※ | 1998年5月1日 | 東京ドーム |
第19代 | 小橋健太 | 2 | 6月12日 | 日本武道館 |
第20代 | 三沢光晴 | ※ | 10月31日 | 日本武道館 |
第21代 | 川田利明 | ※ | 1999年1月22日 | 大阪府立体育会館、王座返上 |
第22代 | ベイダー | ※ | 3月6日 | 日本武道館、田上明 |
第23代 | 三沢光晴 | 2 | 5月2日 | 東京ドーム |
第24代 | ベイダー | 1 | 10月30日 | 日本武道館 |
第25代 | 小橋健太 | 1 | 2000年2月27日 | 日本武道館、王座返上 |
第26代 | 天龍源一郎 | 1 | 10月28日 | 日本武道館、川田利明 |
第27代 | 武藤敬司 | 4 | 2001年6月8日 | 日本武道館 |
第28代 | 川田利明 | ※ | 2002年2月24日 | 日本武道館、王座返上 |
第29代 | 天龍源一郎 | 1 | 4月13日 | 日本武道館、武藤敬司 |
第30代 | グレート・ムタ | 1 | 10月27日 | 日本武道館 |
第31代 | 橋本真也 | 2 | 2003年2月23日 | 日本武道館、王座返上 |
第32代 | 川田利明 | 10 | 9月6日 | 日本武道館、大谷晋二郎 |
第33代 | 小島聡 | 8 | 2005年2月16日 | 代々木競技場第二体育館 |
第34代 | 太陽ケア | 1 | 2006年7月3日 | 大田区体育館 |
第35代 | 鈴木みのる | 3△ | 2006年9月3日 | 札幌メディアパーク・スピカ |
[編集] 主な記録
- 最多載冠記録:5回 - 三沢光晴(10,14,17,20,23代)、川田利明(12,18,21,28,32代)
- 最多連続防衛:10回 - 川田利明(第32代王者時代)
- 最多通算防衛:21回 - 三沢光晴
- 最長保持期間:529日 - 川田利明(第32代王者時代)