三大奇書
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三大奇書(さんだいきしょ)とは、日本の推理小説における、『黒死館殺人事件』・『ドグラ・マグラ』・『虚無への供物』の3作品。中国の長編小説における「四大奇書」を模してつくられた言葉である。 竹本健治の『匣の中の失楽』を加えた場合、それらを推理小説四大奇書と呼ぶ。
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[編集] 略歴
- 1927年(昭和2年) - 夢野久作が『ドグラ・マグラ』の基礎となる「狂人」の執筆を開始。
- 1934年(昭和9年) - 小栗虫太郎が「黒死館殺人事件」を博文館刊行雑誌『新青年』で連載。
- 1935年1月(昭和10年) - 夢野久作が『ドグラ・マグラ』を松柏館書店より刊行。
- 1935年5月(昭和10年) - 小栗虫太郎が『黒死館殺人事件』を新潮社より刊行。
- 1936年3月11日(昭和11年) - 夢野久作急逝。享年47。
- 1946年2月10日(昭和21年) - 小栗虫太郎急逝。享年45。
- 1962年(昭和37年) - 中井英夫が未完成の「虚無への供物」を第8回江戸川乱歩賞へ応募、最終候補作品となる。
- 1964年(昭和39年) - 中井英夫が塔晶夫名義で『虚無への供物』を講談社より刊行。
- 1993年12月10日(平成5年) - 中井英夫死去。享年71。
[編集] 推理小説三大奇書
[編集] その他の三大奇書
推理小説でなく、単に日本三大奇書といった場合、『黒死館殺人事件』のかわりに沼正三の『家畜人ヤプー』が入る(『家畜人ヤプー』は推理小説ではない)。
『平行植物』・『鼻行類』・『アフターマン』の3作品が生物系三大奇書とされるが、推理小説の三大奇書に比べると認知度は低い。
インターネット上ではライトノベルにおける三大奇書を決めようという試みがある。 『ミッションスクール』(田中哲弥)、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)、『絶望系 閉じられた世界』(谷川流)などがよく候補として挙げられるが、定着はしていない。