三条制札事件
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三条制札事件（さんじょうせいさつじけん）は、幕末の1866年（慶応2年）9月12日、当時京都の治安維持を行っていた新選組が、三条大橋西詰の制札を引き抜こうとした土佐藩士8名を襲撃、捕縛した事件。
[編集] 概要
1865年（慶応元年）に実施された第2次長州征伐の失敗以降、江戸幕府の権威は失墜し、慶応2年になると京都では幕府の立てた（長州藩を朝敵とする内容の）制札が引き抜かれるという事件が頻発しだした。特に、鴨川にかかる三条大橋の西詰に立てられた制札が3度に渡って引き抜かれ鴨川に捨てられたことから、新選組に制札の警護が命じられれた。
新選組が警護に当たったところ、同年9月12日、藤崎吉五郎と宮川助五郎を中心とした土佐藩士8名が三条大橋西詰に出現、制札を引き抜く動きを見せたために原田左之助を中心とした新選組隊士らがこれを襲撃。藤崎を討ち取ったほかに宮川を捕縛したものの、土佐藩士たちの殿となった安藤鎌次が奮戦したことと、斥候の浅野薫が失策を犯したことにより、5名を捕り逃す結果となった。
この事件は、新選組史上池田屋事件に次ぐ規模の大捕り物と言われることがある。
[編集] 詳細
制札警護を命じられた新選組は、三条大橋を中心とした3拠点に隊士を配置し、いつでも包囲体制をとれるように準備を整えていた。事件当日は三条会所に原田左之助ら12名が、町屋に大石鍬次郎ら10名が、そして酒屋に新井忠雄ら12名が配置された上に、さらに斥候として浅野薫ら2名が配置されて不逞浪士の出現を待ち構えていた。
土佐藩士出現の報を受け、原田左之助隊が現場に急行。逃走を開始した土佐藩士たちに、遅れて駆けつけた新井忠雄隊が追い討ちをかける形となり、新選組は有利に戦いを進めた。ところが、斥候の浅野薫が乱戦を怖れた為に大石鍬次郎隊への連絡が遅れ当初予定していた包囲体制が完成せず、土佐藩士たちは退路を確保することができた。また、土佐藩士の殿を勤めた安藤鎌次の奮戦もあり、結局、新選組は8人の土佐藩士のうち5人を逃してしまうことになった。
この事件の後、浅野薫はその臆病な振る舞いを咎められて新選組を放逐された。また、参戦した隊士達には原田左之助の20両を筆頭に、会津藩から恩賞が与えられた。
また、余談ではあるが、当時土佐藩士の間では長刀を差すことがちょっとしたブームになっていたらしいのだが、この事件をきっかけに、長刀は使いにくいとの認識が土佐藩士の間に広まってブームが終焉した、とのエピソードが残っている。
