二階堂副包
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二階堂 副包(にかいどう ふくかね、1923年 - 2001年)は、戦後初期日本を代表する経済学者。専攻は数理経済学。生前はEconometric Societyのフェローであり、名前の英文表記にはごく少数の例外を除いて「Hukukane」を用いた。大阪大学社会経済研究所、一橋大学経済学部、筑波大学社会工学系などで教授を歴任後、一橋大学名誉教授。一橋大学に長く所属し、ハーバード大学等の米国の大学と半年ずつ授業をおこなっていた年が多かった。経済学において数学的な理論研究が発展してゆく時代に、日本で数理経済学にいち早く取り組み、その一般均衡理論と経済成長論を主とする研究業績と教育効果は日本の数理経済学を世界水準にまで引き上げる牽引力となる。特に完全競争市場における一般均衡価格体系の存在証明をめぐって、世界の数理経済学者達が熾烈な競争を行っていた1950年代前半、この問題の本質が市場の超過需要関数が「0次同次性」「ワルラス法則」「連続性(対応の場合は上半連続性)」をすべて満たすかどうかに帰することを、David Galeとほぼ同時にそして独立に発見し、両者の成果は「Gale-二階堂の補題」という名の定理で知られている。また純粋数学の研究でも著名である。経済学のための数学の教科書として書かれた和文著書の『現代経済学の数学的方法』(1960)と『経済学のための線型数学』(1961)、英文著書のConvex Structures and Economic Theory (1968)は今もってその価値を失わない名著である。
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