仙台犬
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仙台犬(せんだいけん、せんだいいぬ)は、仙台の地犬である。 歴史はやや古く、戦国時代に下級武士が鹿狩り用の猟犬として独自に作り出された犬種である。 現在で言う岩手犬の血を引く和系犬(日系犬)に、高安犬や相馬犬、津軽犬などの現在はほぼ絶滅状態の犬種を交配させて作られた。 高安犬の血を引いているために稀に白地に黒い虎模様の個体もいる。 狩猟能力が高く、代々の仙台藩主にも愛されて飼われていたという。 それから仙台の武士達にもその高い狩猟能力が知れ渡り、絶滅するまでずっと仙台犬は旧士族達の間で飼われ続けるようになった。
地元の市民でもこの犬種をあまり知られていないのはそのためである。 また、大正初期に越路犬というこれの突然変異種が品種化された。
[編集] 特徴
- サイズ分類:中型犬。
- 目、尾:目は大きく、立ち耳・巻き尾。
- 体型:やや筋肉質だが、スマート。
- 毛色:白のみ。しかし稀に白地に黒縞がいた。
- 使用用途:主に鹿狩りに使われていたとされる。人懐こいので番犬にはあまり向かない。
- 性格:大人しく、口に手を突っ込んでも咬まない。
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- しかし、猟の時に成ると、その性格は一変する。主人の声以外には耳を貸さず、全速猛突進で鹿に食らいつく。
[編集] 減っていった仙台犬
瞬時に鹿を狩る名犬種なのだが、岩手マダギ犬や会津犬のように有名になることは無く、昭和の飢饉時にその体格が災いし、12頭にまで減ってしまった。さらに追い討ちをかけるかの如く、多数の戦争の勃発により、飼われていたもののうち10頭が献上されてしまった。残りの2頭はオスメスだったものの、空爆により死亡。
そのような事情から、現在この世に純血の仙台犬は存在しない。
しかし、仙台の中心部(青葉区や太白区など)にごく少数仙台犬の血を引く和系犬がいる。 その犬達は仙台犬の形質を色濃く伝えるものがとても多い。 それは仙台犬と同じように単色(白や茶など)のものが多く、縞模様は珍しい。