伊予鉄道600系電車
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600系電車は、1958年に当時のナニワ工機(現在のアルナ車両)で製造された伊予鉄道の鉄道線用電車。国鉄や大手私鉄でもカルダン駆動の新性能車がようやく量産化されようとしていた時期に、四国地区で初めての鉄道線向け新性能電車として登場し、注目を浴びた形式である。
モハ600形の1系列1形式で、当初は601・602号の2両1編成。張り上げ屋根の19m級全金属製車体、中央に大きな固定窓を配した前面3枚窓のデザインが斬新な印象を与えたが、片開き3扉・扉間5枚窓(車端部は2枚窓)の側面外観は伊予鉄道伝統のスタイルを踏襲していた。
1979年には長野電鉄からの譲受車1両(モハ1102)を改造のうえモハ600形に組み入れ、602号に中間車化改造を施した上で3両編成に増強された。追加投入車には在来車の続番となる603号が与えられたが、両開き2扉に3連式の側窓など長野時代の側面デザインがそのまま保たれており、大いに異彩を放った。
長らく郊外鉄道線のエースとして活躍を続けたが、800系に端を発する冷房車の大量投入で次第に運用の場を狭められ、1995年初頭の610系登場と同時に現役を退いた。603号は廃車後間もなく解体されたが、残る2両は2006年7月現在も保存用として解体されず、古町車庫構内で倉庫として利用されている。
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