個人タクシー
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個人タクシー(こじんタクシー)とは、正式には1人1車制個人タクシー事業といい、普通自動車第二種運転免許を持つ運転者が、道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業経営許可を取得し、自ら1台のタクシー車両を用いて経営するタクシー事業のことである。
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[編集] 「個人タクシー」と「法人タクシー」
いわゆる個人タクシー(1人1車制個人タクシー事業)に対比して、経営者が、1名以上の運転者を使用し複数台(注1)のタクシー車両を用いて経営する形態を「法人タクシー」と呼ぶことがある。いわゆる「法人タクシー」の呼称は、1人1車制個人タクシー事業との対比上の表現に過ぎず、法人タクシーといっても、経営者の法人・個人の別を問わない。よって、個人事業として(法人を設立せずに)経営許可を取得しいわゆる法人タクシーを経営することは可能である(注2)。
国土交通省各運輸局の公示においては、いわゆる個人タクシーを指す場合には、「1人1車制個人タクシー事業」との呼称を使用している。
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- (注1)患者等輸送限定(いわゆる介護タクシー等)の事業は、1台の車両で可能。
- (注2)患者等輸送限定の事業の場合、個人事業として開業することも少なくない。個人事業形態で、患者等輸送限定であれば、運転者1名車両1両で許可を取得し開業することも可能である。この場合「1人」「1車」「個人」であるが、「1人1車制個人タクシー事業」が1人・1車に限定されているのに対し、患者等輸送限定はそのような制限はないから、開業当初に運転者1名車両1台であったとしても、後に増員増車することが可能である。
以下、本稿では、特に注記なき限り「個人タクシー」という場合は「1人1車制個人タクシー事業」を指すこととし、「法人タクシー」という場合は、経営者が法人・個人を問わず1人1車制個人タクシー事業以外の一般乗用旅客自動車運送事業を指すものとする。
[編集] 現況
民間団体の個人タクシー協会が存在しており、更に支部に分かれ、各個人タクシー事業者の管理等の事務を行っている。開業にあたっては2種免許が必要になるほか、事業区域内で運転を職業としている期間、運転資金、営業拠点の確保、法令及び地理試験の合格など多くの制限がある。
東京23区や横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市などの政令指定都市や、全国の県庁所在地や主要都市で多く見られる。現在全国78都市で個人タクシーが営業している。茨城県、山梨県、鳥取県、島根県には個人タクシーが存在しない。
- 事業区域は行政区域とは必ず一致するとは限らない、例えば東京23区と武蔵野市、三鷹市が東京特別区の事業区域となる。
[編集] 特徴
まれにフェンダーミラーの設定がない車をわざわざ架装し、フェンダーミラーにつけかえるドライバーもいる。 東京特別区では日個連(ちょうちんグループ)の黒塗りのフェンダーミラー30系後期セルシオが存在する。
- 昭和50年代までは、クラウンやセドリック、マークII、ローレルのガソリンの高級グレードを整備工場でLPGに改造して運用したドライバーもいた。
- 車の大きさや排気量により中型車、小型車の料金区分が存在するのは法人タクシーと同一である。しかし、中型車の料金区分と車体のレギュレーションは各地域により異なり、東京特別区や横浜市、千葉市などの首都圏、大阪市や京都市、神戸市などは排気量の上限を問わず、全長/全幅が4600mm/1700mm以上の車は全て中型車とされる。そのため、中型車で3ナンバー車が非常に多い。
- 名古屋市や札幌市、仙台市、福岡市やそれ以外の都市で営業する個人タクシーは、3ナンバー車が非常に少ない。理由は、これらの都市は首都圏などと中型車の料金区分と車体のレギュレーションが異なるためである。中型車の全長/全幅の上限はないが、排気量が2000cc未満の制限があるため自ずと選択できる車種が限られ、中型車はほぼ5ナンバーのクラウン、セドリックに限られる。また名古屋都市圏以外では小型車(排気量2000cc未満、全長/全幅が4600mm/1700mm以下、かつ4人乗り)の割合が高く、殆どがコンフォートやクルーで占められるが、最近ではガソリン代を削減するためか、トヨタ・プリウスやホンダ・シビックハイブリッドといったハイブリッド自動車を採用する事業者も増えている。
- タクシーでの使用を全く想定していないホンダ車やスバル車を用いるドライバーも極少数存在する。
- 輸入車も多く、一部車種には自動ドアをあえてつけていない車輌もある。特殊な車両では自動ドアの装置の取り付け費用が40万円以上するのも一因。
- 東個協(東京都個人タクシー協同組合:でんでん虫グループ)加盟の車両は基本色を白とし、これに統一車色として赤で縁取られた青ラインが入る。基本の白色にも指定色があり、日産ティアナ及びフーガには東個協用特別色がメーカーオプション設定されている。なお、組合規定により後席プライバシーガラスの使用も禁止されており、トヨタ・クラウン及びマークXにはレスオプションの設定がある。
- 日個連都営協(-東京都営業協同組合:提灯グループ)加盟の車両は純正白系統単色。銀色等の車両も極少数存在。平成18年10月より黒色の車両も認められ、現在十数台が稼動している。なお、どの塗色も車両メーカー毎の純正カラーコード指定あり。
- 大阪府の全大阪個人タクシー協会では規定によりボディカラーがアイスランドグリーンである(この色が設定されている車両は存在しないので大個協専用色となる)。
- 東京特別区以外では、指定のボディカラーを設けている協会といない協会がある。
大阪市や京都市、神戸市などは排気量の上限を問わず、全長/全幅が4600mm/1700mm以上の車は全て中型車とされる。→大阪、神戸は2L超過すると大型料金。
[編集] 主に首都圏等で使用される車種
[編集] 主に地方都市で使用される車種
[編集] 個人タクシーの行灯について
個人タクシーは、所属する組合により屋根上についている行灯の形状が異なっている。
- でんでん虫グループ:全国個人タクシー連合会(略称:全個連)かたつむり形の行灯
- ちょうちんグループ:日本個人タクシー連合会(略称:日個連・NKR)ちょうちん形の行灯
- 中立グループ:全個連と日個連どちらにも加入していない団体(かまぼこ形、ながれ星形などさまざま)
[編集] 個人タクシーの組織について
個人タクシーはほぼすべて社団法人全国個人タクシー協会に加入している。
- 社団法人全国個人タクシー協会(略称:全個協) - 全個連・日個連・中立の全ての団体をとりまとめている全国組織