偽キリル文字
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偽キリル文字(en:Faux Cyrillic)は、ラテン文字を使う文化圏を中心に使われている言葉遊びの一種で、キリル文字を字形の似たラテン文字と置き換える表記法である。
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[編集] 概要
英語などのラテン文字の単語中に、Я(Rの鏡文字)やИ(Nの鏡文字)のようなラテン文字に似た字形のキリル文字を混ぜるというものである。似た字形のものを使うが、А(A)やС(C)などのほぼ同一字形のものは使われにくい。これらは大文字では似ているものの、小文字では似ないことが多いので、原則として全文を大文字で書く必要がある。
偽キリル文字の発音は、置き換えられたラテン文字と同じものを用いる。例えば、『TETЯIS』という表記の場合、Яの発音は/ji/ではなく/r/となる。
偽キリル文字を使う目的は色々あるが、「ロシアっぽさ(ソ連っぽさ)」を醸し出すために使われることも多い。前述の『TETЯIS』にもそういった狙いがある(実際のロシア語では『Тетрис』と表記される)。1991年にポール・マッカートニーがソ連(当時)で限定発売したアルバム『CHOBA B CCCP』に記した名義「PAUL McCARTИEЧ」や、フィンランドの音楽グループレニングラード・カウボーイズのロゴ「LЭИIИGЯAD COWBOYS」など、音楽グループをはじめとした各方面で用いられている。
ソ連・ロシアと関係ない用途でも広く使われ、ヘビーメタルウムラウトと同様に文字装飾の一環として定着している。
ほか、ラテン文字とキリル文字を並べて線対称にして特徴付ける用法も多い。三菱・RVRのロゴやナイン・インチ・ネイルズのロゴなども「ЯVR」「NIИ」という表記を用いている。
[編集] 転用される主な文字
キリル文字 | 類似のラテン文字 | ロシア語読み(IPA記号) |
---|---|---|
Я | R | [/ja/] |
И | N | [/i/] |
З | E | [/z/] |
Ш | W | [/ʃ/] |
Ц | U | [/ʦ/] |
Ф | O | [/f/] |
Д | A | [/d/] |
Ч | Y | [/ʧ/] |
У | Y | [/u/] |
Ж | X | [/ʒ/] |
Г | L | [/g/] |
[編集] 転用の例
- From Wikipedia, the free encyclopedia
- →FЯФM ШIКIPЗDIД, THЗ FЯЗЗ ЗИCУCLФPЗDIД
- Union of Soviet Socialist Republics
- →ЦИIФИ ФF SФVIЗT SФCIДLIST ЯЗPЦБLICS
[編集] 日本における利用
日本語のひらがななどとは字形に類似点が見られないためか、日本語に対しての偽キリル文字利用例は多くない。多くの場合は英語に対しての利用か、ローマ字に転化して用いられる。基本的な用途はラテン文字文化圏と変わらない。
一方で、ラテン文字への転用があまり行われない小文字キリル文字が、ギャル文字に取り入れられているなど、独自の偽キリル文字文化が成立している。
[編集] 備考
キリル文字以外でも、ギリシア文字の転用(例:Σ→E、Ω→O)なども存在している。