光の戦士 ダイヤモンド・アイ
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『光の戦士 ダイヤモンド・アイ』(ひかりのせんし ダイヤモンド アイ)は、1973年(昭和48年)10月5日から1974年(昭和49年)3月29日までNET系で毎週金曜日19:30 - 20:00に全26話が放送された、東宝製作の特撮テレビ番組。および作品内に登場するヒーローの名称。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 内容
人間の姿をした怪人(劇中では前世魔人と呼ぶ)の陰謀対フリーの記者、雷甲太郎と彼の指輪から出るヒーロー、ダイヤモンド・アイの戦いを描く。
なおこの番組の主人公はダイヤモンド・アイではなく雷甲太郎である。
[編集] ストーリー
新聞記者・雷甲太郎(いかづち こうたろう)、通称ライコウは、政界を揺るがす事になるある汚職事件を追っていたが、上層部から圧力によりネタの記事化を止められ、憤りの余り辞表を叩きつけてフリーとなり事件を追い続ける。だがその影には「前世魔人」と呼ばれる怪物たちの姿があった。絶体絶命の状況でダイヤの神「ダイヤモンド・アイ」と出会い命を救われたライコウは、その義侠心に惚れ込んだアイから助太刀を申し出られる。“自分の力だけでやりたい”と一度は断るライコウだったが、“私の力が必要になる時が必ず来る”と自らを封じてあるダイヤ「アラビアの王」付き指輪を託される。個人の力ではどうにもならない事態になった時、ダイヤを光にかざして呼びかけるとアイが現れ、ライコウと二人三脚で戦うのだ。
アイの「外道照身霊破光線」を浴びると、人間に化けている前世魔人の正体が明らかになる。その際のアイと魔人の「汝の正体みたり! 前世魔人○○!」「ウウ~、バレたか~」のやりとりが毎回の定番(尚本作では、前世魔人に変身後も変身前の俳優・女優がそのまま、魔人の声優を務めていた)。アイは必殺技のロイヤルパンチ(杖から出る光線)で魔人を倒す。「ペンが俺の力だ」と(エンディングで)いうライコウは、そういいながらも毎回、肉弾戦を敢行していた。一応、空手有段者という設定ではあるものの、世界有数の殺し屋達と素手で、しかも互角に戦う等、一介のジャーナリストらしからぬ超人振りを数々披露していた。「暴力はだめ、ペンが私達の武器よ!」との言を述べる仲間のカボ子もまたトランプによる切断技等を得意技とし、放映回によっては、明らかに刺客を遥かに上回る秘術を多数披露してしまっている。
[編集] アイの特徴
アイリングを光にかざし、その名を呼ぶとアイはライコウの危機を救いに現れる。その登場回数は全26話中、32回。全能の神の使いであるにもかかわらず、後半ではライコウの相談事に呼び出されることもしばしばあった。アイはこの世の悪霊全てを打ち滅ぼすまで、元のダイヤに戻れぬ宿命であるという。
さまざまな超能力を持つアイは光の化身さながら、
- 光の無い所ではその力を失う(…はずなのだが、ライコウがアイを呼び出す際に、奇跡的に一瞬光を見つけた暗闇の中でも平然と闘っている時が多い)
- ステッキを奪われると力を失う(ステッキを手放すことによる弱体化が顕著すぎるため、一説には「本体なのではないか」と近年の大全書籍等でよく言及される)
- 大きな音に弱い
- 寒さに弱い
- 熱に弱い
- 光が無いと戦えない一方、光が強過ぎると逆に力を失う
等、同時代の特撮ヒーローの中でも、とりわけ弱点が多い。一方、ロイヤルパンチや霊破光線以外に「外道、消えろ!!」と叫ぶだけで敵の大隊が本当に消滅してしまう等、異常すぎる弱さの一方で異常すぎる強さも数々見せつけた。
本作放映当時は、いわゆる変身ブームの時期に当たる年代であるが、アイの様に召還されて戦うヒーローというケースは他に類を見ない。アイ自身の定番の言、「これからも世の為、正義の為に献身するのだぞ」という作品自体のテーマと合わせ、一般特撮 = 変身ものに対して、本作は“献身もの”と称される。
[編集] 前世魔人の特徴
キングコブラら前世魔人らに共通する特徴として、「すぐ逃亡したがる」という点がある(大ボス・キングコブラ等は歌舞伎風の大見得を切って「あ。ひとまず~退散!!」と逃げるケースが多々あり)。そんなキングコブラもアイと対等に戦う実力を持っているが(人間に化けた姿=玄海がクールな知性派のイメージであるのに対し、霊破光線により正体を見破られて)、キングコブラに化身するや否や性格が変貌、「うるさ~い!!お前は家帰って寝ろ!!」等の名ゼリフ級の暴言を吐き始める珍キャラになってしまう。
[編集] スタッフ
- 企画:衛藤公彦
- 原作:川内康範
- プロデューサー:片岡政義(NET)、山本悦夫(東宝)
- 監督:六鹿英雄、高瀬昌弘、山田健
- 脚本:田村多津夫、伊東恒久
- 特技監督:真野田陽一
- 音楽:池多孝春
- 主題歌:「ダイヤモンド・アイ」(作詞:川内康範、作曲:池多孝春、歌:ヤングフレッシュ)
- 副主題歌:「ライコウマーチ」(作詞:川内康範、作曲:池多孝春、歌:ロイヤルナイツ)
- 撮影:田島文雄
- 照明:大野晨一
- 美術:朝生治男
- 録音:坂田通俊
- 助監督:中村孝昭
- 編集:清水邦夫
- 殺陣:宇仁貫三
- 制作主任:寺本巌
- 特殊撮影:志賀邦利
- 特殊美術:鈴木ますみ
- 操演:中代文雄
- 特技助監督:増子正美
- 衣裳:京都衣裳株式会社
- 効果:協立効果
- 現像:東京現像所
- 連絡担当:中川与志雄
- ユニットマネージャー:新野悟
- 協力:愛企画センター、萬年社
- 制作:東宝、NET
[編集] キャスト
- 雷甲太郎:大浜詩郎
- カボ子:黒沢のり子
- 五郎:福田悟
- 海藤警部:玉川良一
- 早川編集長:久野四郎
- 雷勝子:菅井きん
- 大沢山京子:青木英美
- 蘭花 / ヒメコブラ:隅田和世
- 朱玉:真山知子
- キルト:片岡五郎
- 源海龍 / キングコブラ:南原宏治
- ダイヤモンドアイ:熊谷巌、田尻陽一郎
- ダイヤモンドアイの声:野田圭一、池水通洋
- ナレーター:中江真司
[編集] 放送リスト
話数 | サブタイトル | 登場怪人 |
---|---|---|
1 | わが名はダイヤモンド・アイ |
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2 | 前世魔人を倒せ! |
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3 | ハリケーン作戦・準備完了! |
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4 | 挫けるな、ライコウ |
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5 | 消えた20億! |
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6 | ライコウ、絶体絶命! |
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7 | 死の壁を砕け! |
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8 | 黒幕を追え! |
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9 | 宝石展示会の陰謀! |
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10 | モージンガーの大反撃 |
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11 | ケラリン族の大挑戦 |
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12 | ゲララチンの総攻撃 |
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13 | キングコブラの大決戦 |
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14 | 新たな敵ヒメコブラ |
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15 | 魔の穴! ヒトデツボの猛襲 |
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16 | 秘術! 電光ワレアタマ |
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17 | ケロキャットの大勝負 |
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18 | オニカブトンの大脱走 |
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19 | キングコブラの大復活 |
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20 | ヒトデツボ・地獄の大竜巻 |
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21 | キングコブラ・大処刑作戦 |
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22 | ヒメコブラ・大死闘 |
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23 | アイ抹殺大作戦 |
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24 | ダイナマイト大作戦 |
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25 | 秘密工場大作戦 |
|
26 | キングコブラ・大決戦 |
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[編集] 掛け合いの発端と視聴者への影響
「外道照身霊破光線! 汝の正体みたり! 前世魔人○○!」「ばぁれたかぁ~」のアイと前世魔人とのやりとりは、一見視聴者にギャグと思われがちだが、これは原作者である川内の案で「歌舞伎のように敵もこう、大見得を切って“うーぬ~! ばあれたかあっ!!”とやって見せるのはどうかね。」と発案されたアイデアを映像化した結果が作品の通りである。本作は、オイルショックが一番の原因として、その他アイというキャラクター自身の人気が至って並であったこと等もあり、関連商品もあまり発売されず、特に延長もされぬまま当初の予定通り2クールで終了してしまったが、視聴率はかなり好調で、しかもこの描写が影響してかいたずらをして見つかった児童等が「ばぁれたかぁ~!」と方々で真似をするという珍社会現象まで起こしていた。また、東宝特撮の中でも非常に再放送も多かった作品である。
[編集] 放映ネット局
NET系 金曜19時台後半 | ||
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前番組 | 光の戦士 ダイヤモンド・アイ | 次番組 |
愛の戦士レインボーマン | 電撃!! ストラダ5 |
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