兌換ウォン
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兌換ウォン(だかんうぉん)、ウエファワパックントンピョ(外貨と両替したお金の票・通称:パックントン)とは、かつて朝鮮民主主義人民共和国で発行されていた外貨兌換券(FEC=Foreign Exchange Certificate)である。朝鮮貿易銀行が発行していた。
同国では、外国人と自国民の接触を情報の漏洩を恐れて厳しく制限しており、自国民の営業する店に外国人が近づかないようにすることと、外国人旅行者から外貨を獲得すると共に流通を管理するために、兌換券を導入していた。外国人は、同国へ旅行する際に同国内で買い物をするため兌換券に両替をしなければならず、元の通貨に再両替することも事実上不可能に近かったため、外貨獲得の手段としては効果があったと言われる。
兌換券の価値は自国通貨の人民ウォン(朝鮮民主主義人民共和国中央銀行発行)と等価とされていたが、兌換券を持っていると外貨商店と呼ばれる、外貨ないしは兌換券を持っている者のみが商品を購入できる質の高い外国製品を販売する商店で買い物ができることから、兌換券は同国国民にとっては人気の高い紙幣となった。そのため闇両替が横行し、人民ウォンの4~80倍もの価値で取引されていたと言われる。
また、社会主義諸国の通貨と交換した赤みがかかった紙幣と、資本主義諸国の通貨と交換した青みがかかった紙幣の2種類が存在し、後者の方が人気が高かった。
兌換券の種類は50ウォン、10ウォン、5ウォン、1ウォン、50チョン、10チョン、5チョン、1チョンの8種類で、人民ウォンでは硬貨になっていた補助通貨のチョンも、兌換券では紙幣であった。紙幣のデザインは、チョンは金額表示が違うのみでどれも同じ、ウォンはデザインは同じだが金額によって縦横の大きさが異なっていた。
2002年7月の経済政策の変更に伴い、外国人に対してはユーロ・円といった通貨を北朝鮮国内でも使用させるようにしたため、兌換券は廃止された。
カテゴリ: 通貨 | 朝鮮民主主義人民共和国の経済