ウォン
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ウォン | |
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各種表記 | |
ハングル: | 원 |
漢字: | |
平仮名: (日本語読み仮名): |
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片仮名: (現地語読み仮名): |
ウォン |
ラテン文字転写: | Won (₩) |
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ウォンは朝鮮民主主義人民共和国及び大韓民国の通貨単位。元々は「圓」(円)の朝鮮語読みだが、公式には漢字表記をしない。「元」も朝鮮語読みでは「ウォン」となるが、韓国において稀にウォンを「元」と漢字表記することもある。
日本円はハングルで、「엔」(エン)と表記し、また中華人民共和国の元は「위안」(ウィアン、[yan]→[wian])と表記する。
目次 |
[編集] 韓国
中央銀行である韓国銀行が発行する。通貨保護の観点から海外への持ち出しを制限している。2002年のワールドカップを機に規制緩和され、日本国内の郵便局や一部の銀行等で日本円との両替が可能となった。しかし、日本国内では硬貨は両替不可能(一部業者を除く)なので、持ち帰りの際は注意が必要である。
公式にはペッグ制は採用していないが、相場は経済上密接な関係にある日本円に連動する場合が多い。アジア通貨危機の克服以降、100円 ≒ 1,000ウォン程度で安定して推移していたが、近年の急激なウォン高により、現在では約780ウォン近辺で推移している。
[編集] 貨幣単位の歴史
[編集] 通貨価値
韓国のウォンは額面上、日本円の約8~10分の1程度の価値の貨幣であるが、平均賃金に比べての購買力は先進国レベルに達している。一部公共料金を除いて「物価が著しく安い」と感じることは少ないであろう。
[編集] 流通紙幣
- 1,000ウォン(表面:退渓李滉の肖像、裏面:陶山書院)
- 1,000ウォン(表面:退渓李滉の肖像、裏面:渓上静居図) (2007年からの新紙幣)
- 5,000ウォン(表面:栗谷李珥の肖像、裏面:烏竹軒)
- 5,000ウォン(表面:栗谷李珥の肖像、裏面:申師任堂の草虫図)(2006年からの新紙幣)
- 10,000ウォン(表面:世宗大王の肖像、裏面:慶会楼)
- 10,000ウォン(表面:世宗大王の肖像、裏面:天象列次分野之図)(2007年からの新紙幣)
2006年1月2日に5,000ウォン札が、2007年1月22日に1,000ウォン札と10,000ウォン札のデザインが変更され新紙幣になった。なお、新紙幣は一部のATM・自動販売機などでは使用ができないので注意が必要である。
最高額紙幣が10USドル程度の価値ということで、決済時に不便をもたらしている。このため国民の間では、チャギアプスピョ(自己宛小切手)略してスピョ(手票)と呼ばれる小切手やクレジットカードの使用頻度が高い。デノミネーション論や高額紙幣発行論がしばしば取りざたされているが、「インフレ圧力になる」との批判が根強く、具体化に至っていない。2006年初頭、韓国政府は10万ウォン札を発行する方針で具体的な検討に入った。
[編集] 流通硬貨
- 1ウォン(アルミニウム)
- 5ウォン(黄銅)
- 10ウォン(黄銅、直径22.8mm、4.0g)
- 10ウォン(銅を被せたアルミニウム、直径18mm、1.22g)(2006年からの新硬貨)
- 50ウォン(白銅、直径21.6mm、4.1g)
- 100ウォン(白銅、直径24mm、5.4g)
- 500ウォン(白銅、直径26.5mm、7.7g)
- 500ウォン(ステンレス製、直径26.5mm(孔径5.5mm)、6.7g)(2007年からの新硬貨)
- 1ウォン硬貨、5ウォン硬貨は、現在一部お土産用の貨幣セットで見かけるのみで、実際に流通はしていない。預金通帳上では1ウォン単位で決済が行われているが、両替等の現金取引で10ウォン以下の端数が発生した場合、切り上げ、もしくは切り捨てられて計算される。
[編集] 日本における変造500ウォン問題
500ウォン硬貨は、日本円でおよそ50円程度の価値しかない。ところが、日本の旧500円硬貨と比べて、重量が少し重いことをのぞき、材質・形状が極めて類似していた。このため、1999年頃から、ドリルでくぼみをつけて重量を合わせるなどの加工がなされた変造500ウォン硬貨が、大量に韓国国内から日本国内に運び込まれ、日本全国の自動販売機や両替機などで使用された。摘発された主な事件には、次のようなものがある。
- 1999年6月に、不法滞在の中国人の男3人と日本人の男1人が、日本各地の自動販売機で変造500ウォン硬貨を使用していた容疑で、富山県で逮捕された。男らが用いていた自動車から、変造500ウォン硬貨約2,000枚が発見され、押収された(平成12年警察白書による)。
当初は自動販売機の識別機能強化による対応が試みられたが、まさにいたちごっこの状態となり、自動販売機での500円硬貨の受入れを中止する動きが広まった。結局、2000年に、日本の造幣局は、抜本的な対策のため、材質を変更した上で偽造防止対策を施した新500円硬貨を発行した。また、自動販売機の多くで新500円硬貨のみ対応の自動販売機に切り替わった。その結果、日本国内の自動販売機荒らしの発生件数は、2000年の6,706件から2001年には1,061件まで減少した(平成14年警察白書による)。
[編集] 為替レート
韓国ウォン - 円
年 | 月 | |||||||||||
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1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
2004年 | 9.03 | 9.31 | 9.11 | 9.38 | 9.44 | 9.41 | 9.56 | 9.5 | 9.64 | 9.45 | 9.84 | 9.96 |
2005年 | 10.09 | 10.43 | 10.54 | 10.56 | 10.76 | 10.74 | 10.94 | 10.74 | 10.88 | 11.09 | 11.54 | 11.71 |
2006年 | 12.12 | 11.99 | 12.05 | 12.11 | 11.85 | 12.05 | 12.02 | 12.19 | 12.46 | 12.44 | 12.49 | 12.78 |
日本銀行の時系列データにある「外国為替市場 / text」を元にした。
[編集] 朝鮮民主主義人民共和国
北朝鮮のウォンは1ウォン = 1円程度とされていたが、最近の経済難の深刻化により、10分の1以下の価値に下落したと言われている(北朝鮮のウォンは朝鮮人民のみの流通に限定されているため、公式には外貨両替が成立しない。そのため、このレートはあくまで物価などから推定されたものにすぎない)。同じく「ウォン」と称する韓国の通貨とは、まったく違うレートである。さらに北朝鮮では、ウォンの下にチョン(銭; 韓:전)という補助単位が存在し、1ウォン = 100チョンとなっていた。
また、現地人が使用するウォン(朝鮮民主主義人民共和国中央銀行発行)は外国人が使用できないため、別に外国人が使用する兌換ウォン(外貨兌換券。朝鮮貿易銀行発行。通称パックントン)が発行されていたが、2002年7月に外国人との取引は外貨を北朝鮮国内で直接流通させる方法に切り替えられ、外国人の使用するウォンは廃止された。全国に広がる市場では、人民元、米ドル、日本円も流通している。
[編集] 流通紙幣
(額面・表のデザイン・発行年の順)
- 1ウォン(花を持つ乙女(洪英姫)・1992年発行)
- 5ウォン(学生と地球儀・1992年発行)
- 10ウォン(工作員と「千里馬」像・1992年発行)
- 50ウォン(人民と「主体思想」塔・1992年発行)
- 100ウォン(金日成・1992年発行)
- 200ウォン(オオヤマレンゲ・2005年発行)
- 500ウォン(錦繍山記念宮殿・1998年発行)
- 1,000ウォン(金日成・2002年発行)
- 5,000ウォン(金日成・2002年発行)
[編集] 流通硬貨
- 1チョン
- 5チョン
- 10チョン
- 50チョン
- 1ウォン
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