八幡山古墳 (埼玉県)
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八幡山古墳(はちまんやまこふん)は、埼玉県行田市の若小玉古墳群内にある直径80メートル、高さ9.5メートルの円墳である。1944年、埼玉県史跡に指定。
新編武蔵風土記稿に横穴式石室の一部が露出し、石室内に八幡社が祀られていたことが記載されている。江戸時代より既に石室の一部が露出していたが、1934年11月に小針沼の干拓工事で盛土が取りさられて石室が完全に露出。その様子が、飛鳥の石舞台古墳に似ていることから、考古学者の大場磐雄氏が「関東の石舞台」と形容した。石室の構造は羨道・前室・中室・奥室からなり、全長は16.7メートル、奥室の高さ3.1メートル。
1977年の発掘調査で、絹布に漆を塗り、繰り返し重ねて作られた棺の破片(乾漆棺、漆塗木棺片)が出土。畿内の終末期古墳と共通する出土品が確認されたことから、被葬者が宮廷ときわめて近い関係の人物と考えられている。古墳の築造年代は7世紀前半から中頃。