初夜権
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初夜権(しょやけん)とは、領主・聖職者等が新しい夫婦の新婚初夜に花嫁と床を共にする権利のことであるが、歴史上実在したかについては争いがある(後述)。
結婚儀式をとりおこなった後、権力者(領主や僧侶など)が、夫よりも先立って処女の花嫁と寝てセックスを行うことが中世ヨーロッパでは認められていたなどと言われている。阿部謹也の著作を参照。そして、この権利は新郎が金銭と引き換えに権力者から取り戻すことが可能であったとされる。
処女と性行為をすることは災難を招く云々の迷信が信じられている場合、特別の権威を有する領主や聖職者にそれを取り除く機能が期待されていたとも言われる。もちろん領主や聖職者の性的な欲求との合致もまた理由の1つであろう。女性に対し婚姻以前の不貞の有無を問う事を難しくする機能も果たした。
また、法となっていないまでも世界各地にこれと類似した風習があったという。近代以前の社会では、花婿は花嫁の処女を頂く権利さえ、支配階級によって奪われていたのである。 また女性の領主や聖職者の新郎に対する初夜権を認める地域もあった。[要出典]
しかし、セックスするまでの権利があったことを示す確固たる証拠はまったく無く、むしろ、「初夜権」の制度が廃れ始めた時代に形成された不確かな伝承であると言う説もある。領主の権利として、新婦は領主の所有物であり(と言っても結婚初夜の初交まで奪う権利があると言う訳ではなく)、新郎が新婦を領主から買う、という「結婚税」制度が曲解されたのが真相に近いと言う説もある。いかに腐敗していたとしてもカトリックの聖職者が世俗の女性と性的関係を結ぶことが公認されていたとは考え難い。
類似の風習としては、ヘロドトスによれば、紀元前5世紀のバビロンには女性は結婚を許可されるためにはイシュタルの神殿で一度見知らぬ男性に身を委ねなければならない、とする風習(いわゆる神殿売春)があったとされるが、これもイシュタルに仕える女性神官の振舞いを見誤ったものだとする説がある。[要出典]
[編集] 清朝時代の蒙古
かつて、清朝時代の蒙古地方ではチベット仏教の僧に初夜権があった。これをあえて清朝は黙認していた。結果として梅毒などの性病が拡散することとなった。あえて黙認することにより民族を弱体化する効果を期待していたと考えられる。[要出典]
[編集] 初夜権を題材とした作品
- ギルガメシュ叙事詩にも見られる。
- ヴォルテールは初夜権を題材とした喜劇を書いたが、生前に演じられることはなかった。
- フィガロの結婚
- ジョージ・オーウェルの「1984年」にも言及がある。
- ブレイブハート
[編集] 外部リンク
- 折口信夫「最古日本の女性生活の根柢」 - 日本の初夜権についてふれる
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