合衆国
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合衆国(がっしゅうこく)とは、英語における政体呼称の一つである“United States”の訳語である。国名に用いられ、現在はアメリカ合衆国(米国)とメキシコ合衆国(墨国)の2か国がある。古くは前者のみであり、日本で単に合衆国と呼ぶ場合はアメリカ合衆国を指すことが多い。
現代の日本語に直訳すれば「連合諸州(諸国)」、意訳すれば「連邦」のような意味合いとなるが、江戸時代末期(幕末)以降現代に至るまで日本の政府・社会一般では一貫して「合衆国」を用いている。なお、本多勝一など、直訳の省略形と考えると合州国がより正確な表記であるなどとして、著書等で使用し続ける向きもある。
参考までに、“United Kingdom”は「連合王国」と(イギリスの日本語での正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」)、“United Nations”は「国際連合」と訳されるように、現代ではUnitedは「連合」と訳されることが多い。
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[編集] 訳語の由来
[編集] 「合衆+国」説
「合衆」(がっしゅう)は幕末から明治初期に日本で発案された訳語で、本来的な意味としては「共和制」(Republic=君主のいない、民衆から元首を選ぶ制度)、ないしは「民主主義」(democracy, democratic) の古い訳語(前身)であり、そもそも"United States"の直訳語ではない、とする説。「合衆制度により治められる国」の意となる。由来は周礼の「大封之禮、合衆也」から。この説によれば、中国語へも日本語から輸出されたこととなる。
[編集] 「合州国」の誤記説
単に合州国と書くべきところを合衆国と、誤って表記したという説。“United States”を直訳すれば合州国という表現がより正確であり、合衆国という訳にはならないとして、支持する者もいる。ただし、。本当に“United States”の直訳であったとすれば、すでに「連邦」など他に適当な語が存在するため、「合州国」という他に類例のない表記の説得力は薄い。
[編集] 「合+衆国」説
この訳語は元々中国語(漢語)であり、それが日本語に転用(輸入)された、とする説。合衆国とは「衆国を合わせた」という意味を表し、「衆国」とは大衆によって運営される国(共和政体)のことを指す。
[編集] 「合+(衆+国)」説
合わさった衆(多数の)国(state, 州)、とUnited Statesを直訳したものである。
[編集] 「合衆国」と呼ばれる国
[編集] 現在の合衆国
[編集] 歴史上の合衆国
- ベルギー合衆国 (United States of Belgium, 1790)
- 中央アメリカ合衆国 (United States of Central America, 1823 - 1838) 中央アメリカ連邦共和国 (Federal Republic of Central America) とも
- コロンビア合衆国 (United States of Colombia, 1863 - 1886)
- インドネシア合衆国 (United States of Indonesia, 1949 - 1950)
- ベネズエラ合衆国 (United States of Venezuela, 1864 - 1953)
- ブラジル合衆国 (Republic of the United States of Brazil, 1889 - 1968)