名古屋金利
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名古屋金利(なごやきんり)とは、名古屋経済圏における金融機関の平均貸出金利、またはこれが全国の平均貸出金利を大きく下回るという低金利現象の俗称。名古屋金利以上の低金利現象に、岐阜金利や三河金利がある。
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[編集] 実態
日本銀行名古屋支店の調査によれば、名古屋市内金融機関の2005年3月末時における既存長期及び短期融資分の平均貸出金利水準の総合比較は次の通り(カッコ内は全国平均比マイナス▲)。
- 都市銀行 - 1.270%(▲0.233%)※名古屋市内母店8カ店のみ
- 地方銀行 - 1.821%(▲0.115%)
- 第二地銀 - 1.946%(▲0.385%)
- 信用金庫 - 2.162%(▲0.426%)
[編集] 背景
名古屋大学教授の家森信善は名古屋金利の原因について、以下の4原因を挙げている。
- 無借金志向の企業が多く資金需要が小さい
- 企業の無借金志向は全国的な傾向であるが、名古屋圏の企業は「将来のために借りることができる余力を残しておきたい」する志向がより強い。
- 優良企業が多い
- トヨタ自動車を始め、製造業を中心に優良企業が集まっている。トヨタは無借金企業の代表例である(なお、いわゆる”無借金”とは借入金を相殺できる現金・預金及び現金等価物を保有している事を指し、「借入残高が全く存在しない」という意味とは異なる)。
- 金融機関の競争が激しい
- 旧東海銀行以来、強固な経営基盤を持つ三菱東京UFJ銀行を始め、愛知県内に本店を構える地域銀行3行(愛知銀行・名古屋銀行・中京銀行)、岐阜・三重の近隣他県の地域銀行6行(岐阜銀行・大垣共立銀行・十六銀行・三重銀行・百五銀行・第三銀行)、さらに東海3県には、預金量約2兆3千億円の岡崎信用金庫、同約2兆1千億円の岐阜信用金庫など(この2金庫は、域内の第二地銀に匹敵する規模の「マンモス信金」である)、預金量1兆円を超える信用金庫が4つ(他は、瀬戸信用金庫・碧海信用金庫)あり、いずれも愛知県にて熾烈な競争を展開している。この激しい競合の結果、金利が低くなる。
- 金融機関が安全性の高い企業にしか貸出さない
- 東海地方に拠点を構える金融機関は、与信に関しては「保守的な判断」をする傾向にある。また他地域に比べ、「信用保証協会保証付融資の割合が高い」とする調査結果もある。いずれもデフォルト(債務不履行)の可能性が低くなり、必然的に金利も低くなる。