唐戸
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唐戸(からと)とは、山口県下関市の、関門海峡を望む唐戸町と、その周辺である南部町(なべちょう)、あるかぽーと地区を含む一帯を指す。
[編集] 概要
- 唐戸地区は、市役所と唐戸市場の存在により下関市の中心市街地の一つとして栄えてきたが、1970年代以降、山陽新幹線の開通による新下関地区の発展と、シーモール下関のオープンによる下関駅地区の発展などにより徐々に求心力の低下を招いていた。また、1990年代、南部町から岬之町(はなのちょう)に至る海岸沿いでは老朽化した倉庫や建物が立ち並び、さらに下関駅東側の細江地区では旧国鉄貨物ヤード跡地が広がっているという状況であり、下関の衰退を象徴するかのような景観であった。以上のような理由から、唐戸から細江の海峡沿いにおいて「あるかぽーと」および「海峡あいらんど21」と呼ばれる再開発事業が進められることとなった。
- 唐戸地区においては、倉庫群が一掃され、埋立地・あるかぽーとの整備ののちその一部に市立水族館(海響館)が長府から移転オープン、唐戸市場が改築され、複合飲食施設であるカモンワーフがオープンするなど、21世紀に入って海峡沿いの景観が大きく様変わりした。
- また、旧英国領事館(現存する国内最古の領事館)、旧秋田商会ビル、南部町郵便局(国内最古の現役郵便局)などのレトロな建築物も点在しており、多くの家族連れや若者などが観光に訪れている。夜はライトアップされる。
- 1990年代前半、対岸の北九州市・門司港地区も下関同様に鄙びた港町の景観をなしていたが、下関の再開発事業と同時期に観光地としての整備が推し進められ、現在は「門司港レトロ」として多くの観光客を集める場所となった。現在は、唐戸と門司は一つの観光周遊コースとなっている。
- 毎年8月に行なわれる関門海峡花火大会の下関側会場である。花火当日はカモンワーフ・関門汽船の桟橋から西南部バス停まで混雑する。
- 同地区には唐戸商店街があるが、海峡沿いの盛況とは対照的に、やや寂れた感じが漂う。最近、あるかぽーとでの商業施設誘致や新市庁舎の移転が検討されているものの、いずれも唐戸地区の衰退につながるものとして、商店街の加盟店の多くは反対・計画見直しの意思を示している。