国際海峡
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国際海峡(こくさいかいきょう)とは、国連海洋法条約によって定義された国際航行を、定められた範囲で自由に行える海峡のことである。
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[編集] 定義
公海又は排他的経済水域の一部分と公海又は排他的経済水域の他の部分との間にある国際航行に使用されている海峡。(国連海洋法条約第3部2節37条)
[編集] 経緯
国連海洋法条約により、条約発効事前は3海里だった沿岸国の領海が12海里に拡大されることになった(一部国家ではすでに12海里であった)。そのため、今まで公海上であったため自由通航可能だった海峡が領海内になり、航空機は領海上のため飛べなくなり、船舶は無害通航しかできなくなる。そのため、同条約では定義された重要海峡での通過通行権を与えた。
[編集] 通過通行権
通過通行権とは、定義された海峡での迅速な通過を行う場合のみ航行および上空通過を認めるものである。
[編集] 特定海域
特定海域とは、宗谷、津軽、対馬東水道、同西水道及び大隅の、領海の幅が通常の12海里から3海里にとどめられた5つの海峡をさす。つまり、現在では国際海峡の国内での呼称のひとつである。
[編集] 制定の経緯
領海を12海里とする主張が世界的に優位になったことを受け、日本は1977年に領海法を制定し、これまでの3海里の幅の領海を12海里に拡張した。この立法趣旨に従えば上記5海峡も領海が12海里になるはずだが、この5海峡にかぎって3海里にとどめられている。その理由は非核三原則にあるといわれている。
仮に、この5海峡の領海幅を3海里から12海里にしてしまうと5海峡は完全に日本の領海になる。一方、国際法(海洋法条約38条2)では、国際海峡における外国の船舶及び航空機の通過通行権が認められている(それは核兵器を搭載した外国の軍艦あるいは軍用機であっても同じである)。とすると、核兵器を搭載した外国の軍艦が当該海峡を通過する場合、日本は国際法上、軍艦の通過は拒否できず、結果として領海内に核兵器が持ち込まれたこととなり、非核三原則の「持ち込ませず」の原則を堅持できなくなるのである。
そこで海峡上に領海に含まれない海域を残し、核兵器を搭載した軍艦をこの海域上を通行させることによって、こういった事態に対処しようとしたのである。
[編集] 国際海峡とされる海峡
[編集] 日本の国際海峡
日本には国際海峡が5つあるが、これらはすべて1977年に定められた領海法で、特定海域として海峡の一部を公海にしたもので、国連海洋法条約とは直接関係無い。
[編集] 世界の国際海峡
- ジブラルタル海峡(イギリス領ジブラルタル・スペイン領セウタ間又は大西洋・地中海間)
- マラッカ海峡(マレーシア・インドネシア間)
- ボスポラス海峡(黒海・マルマラ海間)
- ダーダネルス海峡(マルマラ海・エーゲ海間)
- バブ・エル・マンデブ海峡(ジブチ・エリトリア・イエメン間又は紅海・アデン湾間)
- カテガット海峡(スウェーデン・デンマーク間)
- スカゲラック海峡(ノルウェー・デンマーク間)
- ドーヴァー海峡(イギリス・フランス間)
- ホルムズ海峡(ペルシャ湾・オマーン湾間)
- ロンボク海峡(バリ島・ロンボク島間)
[編集] 外部リンク
- 特定海域(海上保安庁海洋情報部)
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