地軸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地軸(ちじく)とは、地球が自転する際の軸であり、北極点と南極点を結ぶ運動しない直線を指す。地球以外の惑星や衛星についても地軸と呼ぶ。地球の地軸は、公転面の法線に対して、約23.4度傾いている。
目次 |
[編集] 地軸と季節の変化
地軸の傾きが日常生活に最も関連するのは季節の移り変わりだろう。地軸が傾いていることから、夏季には日が高く昇り、昼の時間が長く、冬季には日が低く、昼が短い。単位面積当たりの太陽エネルギーの照射量と日照時間が変化することで、季節が生じる。北緯23.4度を走る北回帰線上では、1年に1度、夏至に太陽の南中高度が90度になる。これも地軸の傾きによる。逆に北緯66.5度(66.5=90-23.5≠23.4)の北極圏では、夏至に太陽が沈まず(白夜)、冬至に日が昇らない。
[編集] 地軸と北極星
地軸は公転の影響を受けないため、常に一定の方向を指す。そのため、天球の北半球と地軸の交点付近の恒星(北極星)は、1日のどの時刻であっても、1年のどの季節であっても同じ高度(角度)に見える。つまり、北極星の高度を測定すれば、地球上のどの地点であっても緯度を計算できるのである。GPSなどが発達する以前、数百年にわたって北極星が航海に役立ってきたのは、こうした地軸の性質による。
ただし、非常に長い期間を想定した場合、地軸自体の指す方向は変化する。これを歳差運動と呼ぶ。歳差運動自体は珍しいものではなく、コマの首振り運動のように日常観察できるものだ。地軸の歳差運動の周期は約2万5,800年である。このため、北極星に該当する恒星も変化してゆく。
[編集] 地軸の傾きを計算する方法
地軸が傾いていること自体は、季節によって日の出、日の入りの時刻が異なることから予想することができた。それでは、地軸の傾き自体はどのように測定できるのだろうか。まず北極星の高度から緯度xを測定する。北極星が真上に見えれば緯度90度、水平線であれば緯度0度である。次に、一日で最も日が短くなる冬至の南中時に高さ h の物体の影の長さ l を測定する。すると、次の式から太陽の高度 θ が分かる。
北半球であれば、地軸の傾きは、90 - x - θ である。
[編集] 他の惑星の地軸
他の惑星に目を向けると、地軸の傾き(赤道傾斜角)はさまざまである。地軸の傾きが最も小さいのは水星(0度)。水星では季節の変化が起こらない。もっとも軌道の離心率が0.20と大きいため、太陽からの距離の変化に強い影響を受ける。
地軸の傾きの絶対値が最も大きいのは天王星(97.9度)である。ほとんど横倒しのまま自転していることになる。天王星の公転周期は84年であるから、例えば南極点から観測すると約40年間昼が続くことになる。