塩化ベンジル
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塩化ベンジル | |
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IUPAC名 | (クロロメチル)ベンゼン 塩化ベンジル |
別名 | α-クロロトルエン |
分子式 | C7H7Cl |
分子量 | 126.59 g/mol |
CAS登録番号 | [100-44-7] |
形状 | 無色液体 |
密度と相 | 1.100 g/cm3, 液体 |
融点 | −39 °C |
沸点 | 179 °C |
SMILES | ClCC1=CC=CC=C1 |
塩化ベンジル(えんか—、benzyl chloride)は、有機合成で用いられる芳香族化合物の一種。示性式は C6H5CH2Cl、トルエンのメチル基の水素をひとつ塩素に置き換えた構造を持ち、α-クロロトルエン、クロロメチルベンゼンと呼ぶこともできる。
塩化ベンジルは強い催涙性と不快な刺激臭を持つため、使用する際は確実な排気のもとに取り扱わなければならない。目の粘膜や皮膚を刺激する。かつて催涙ガスとして戦争で用いられたことがある。
塩化ベンジルは、有機合成において、アルコールやカルボン酸の OH 基の水素をベンジル基で置き換えるために用いられる。
- ROH + C6H5CH2Cl + R'3N → ROCH2C6H5 + R'3N•HCl
- RCOOH + C6H5CH2Cl + R'3N → RCOOCH2C6H5 + R'3N•HCl
前者は、アルコールやフェノール類のヒドロキシ基をベンジル基により保護(ベンジル保護)する場合の一手法である。ウィリアムソン合成の一形式にあたる。
C6H5CH2Cl + NaOH → C6H5CH2OH + NaCl