塩化水銀(I)
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塩化水銀(I)(えんかすいぎん いち)は、水銀の塩化物の1つ。水銀の塩化物である塩化水銀は2種類あり、もう1つは塩化水銀(II) である。Hg2Cl2 という組成をもち、甘汞(かんこう)、カロメルとも言う。水銀原子同士が共有結合により結合しているため HgCl とは表記しない。光に当たると塩化水銀(II) と金属水銀に分解する。毒性は塩化水銀(II)よりは弱いが、毒物および劇物取締法で劇物に指定されている。白色またはやや黄ばんだ白色をしていて水には溶けにくい。アンモニア水と反応すると黒色に変わる。
アンモニア水と反応して黒くなる反応式は次の通りである。
- Hg2Cl2 + 2NH3 → Hg + Hg(NH2)Cl + NH4+ + Cl−
[編集] 用途
かつては下剤や利尿剤として利用されていたが、水銀中毒の危険があるために現在は使用されていない。塩化水銀(I) は電極として利用されることがある。
[編集] 属性
- 常温では固体で、密度は 7.150 g/cm3
- 沸点: 400 °C
- モル質量: 472.09 g/mol
- 水への溶解度: 0.2 mg/100 ml (25 °C)
- CAS登録番号: [10112-91-1]
- EINECS番号: 233-307-5