墨攻
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『墨攻』(ぼっこう/ぼくこう)は、戦国時代の中国を舞台とした酒見賢一の歴史小説。また、それを原作とした森秀樹の歴史漫画およびそれらを原作とした日中韓合作の映画作品。
なお、「墨攻」という単語は、酒見が「墨守」という言葉から作り出した造語である。
目次 |
[編集] あらすじ
兼愛・反戦を説き墨子が築いた墨家であるが、三代目巨子・田襄子の代となり徐々にその体質を変え腐敗し、権力と結びつく道をとろうとしていた。 そんな中、祖の意志を貫こうとする墨者の革離は、趙軍に攻められている燕国の梁城城主・梁溪からの依頼により、田巨子の命に背き単身梁城に乗り込み、趙の大軍を相手に梁城を守ることとなる。墨家の協力が得られないまま、革離はたった一人で梁城の民をまとめあげ、巷淹中将軍率いる趙軍を相手に奮戦する。
[編集] 主な登場人物
- 革離(かくり)
- 本作の主人公の墨者。腐敗した墨家教団の命に逆らい、単身で梁城の防衛に赴く。墨家内では戦闘部門にあってトップクラスの実力を誇る。様々な戦闘方法に精通し、自ら槍の穂先の鋳造なども行った。梁城戦では4500の民を部隊分けして統率する指揮力や、趙軍の穴攻に対する地聴という戦法、巷淹中との模擬戦での勝利など、戦闘におけるスペシャリストであることが窺える。
- 薛併(せつへい)
- 墨者。田襄子の右腕として働く。田襄子に秦への軍事協力を持ちかけた、儒者くずれの小悪党。革離を融通の利かない戦闘職人と見下している。
- 巷淹中(こうえんちゅう)
- 趙の将軍。字は伯魯。梁城への侵攻を指揮する。勇猛果敢な歴戦の名将であり、革離を高く評価しさまざまな攻城術を駆使して梁城を攻撃、激戦を繰り広げる。
- 梁適(りょうてき)
- 城主梁渓の息子。怠惰で好色な父親を軽蔑している。覇気のある若者だが世間知らずで墨者に反感を抱いていおり、革離に対して敵愾心を剥き出しにして反抗する。
- 梁渓(りょうけい)
- 梁適の父。戦中においても女色に耽る暗愚な城主。
[編集] 書籍
- 『墨攻』(ぼくこう)新潮社より1991年3月発行 ISBN 4103751038
- 第4回中島敦記念賞受賞
[編集] 漫画版
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作画は森秀樹、脚本は久保田千太郎。「ビッグコミック」(小学館)において1992年から1996年にかけて連載された。梁城編で終わった原作と違い、途中からオリジナルストーリーとなり、鼠編・邯鄲編と続く。
第40回(平成6年度)小学館漫画賞受賞。
[編集] 単行本
- 『墨攻』(全11巻・小学館ビッグコミック)
- 『墨攻』(全8巻・小学館文庫)
[編集] 漫画版のみの登場人物
- 雲荊(うんけい)
- 蘭鋳(らんちゅう)
- 25歳。韓の町に住んでいた百姓。秦軍に対してゲリラ活動をしていたところ革離と出会い、行動を共にするようになる。
- 娘(にゃん)
- 女間者。共に秦に潜入していた姉を目前で処刑される。その後革離と共に行動し、次第に彼に惹かれていく。
- 司路(しろ)
- 墨者。革離の幼馴染で、墨家の農耕部門を担当している。
[編集] 映画版
日本では2007年2月3日に公開した。なお、2006年の第59回カンヌ映画祭でプロモーションイベントを行っている。 劇場窓口で特別鑑賞券を買うと、「墨攻パズル」という特典が付くというキャンペーンをやっていた。
[編集] スタッフ
- 監督:ジェイコブ・チャン
- プロデューサー:黄建新(ホァン・チェンシン、Huang Jian Xin、中国)、王中磊(ワン・チョンレイ、Wang Zhong Lei、中国)、徐小明(ツイ・シューミン、Tsui Siu Ming (Siuming Tsui)、香港)、李柱益(イ・ジュイック、Lee Jooick、韓国)、井関惺(日本)
- 撮影監督:阪本善尚
- 編集:エリック・コン
- アクション監督:スティーブン・トン・ワイ
- 音楽:川井憲次
[編集] キャスト
[編集] 余話
漫画版の中国語タイトルは『墨子攻略』であるが、映画版は中国語でも『墨攻』である。