大都会 PARTIII
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドラマ |
Portal : テレビ Portal : ドラマ |
ドラマ一覧 |
日本のドラマ |
カテゴリ |
テレビドラマ |
プロジェクト |
テレビドラマ |
『大都会 PARTIII』は、1978年10月3日から1979年9月11日まで日本テレビ系列で毎週火曜日21:00 - 21:54に全49話が放送された、石原プロモーション制作の刑事ドラマである。 2007年1月現在、石原プロモーションのHPで当番組が紹介されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
『大都会』シリーズの第三弾。荒っぽい捜査スタイルから「黒岩軍団」と呼ばれる城西署捜査課の刑事たちの活躍を、派手なカースタントやガンプレイを交えて描くアクション刑事ドラマ。
[編集] 特徴
舞台は『大都会 PARTII』同様城西署捜査課であるが、やはり設定などの一部に変更も見られ、本作も続篇として見ない方が自然である。
前作から更にアクションシーンの充実が図られており、後にプロデューサー山口剛と石野憲助が「頭からではなくケツから話を作った」と語っているように、大掛かりな爆破やカースタントを交えたアクションシーンや、主人公側である刑事たちによる拷問描写など、脚本にもアクション向けに荒唐無稽さが求められるようになっていった。この路線は、後に同じ時間帯で放映される『大激闘マッドポリス'80』に引き継がれている。
当時は『ダーティーハリー』『フレンチ・コネクション』などのハリウッド製刑事映画に比べ、和製アクションは予算や放送倫理などの兼ね合いからどうしても萎縮した作りにせざるを得ず、多くの映画マニアたちからは低い扱いを受けていた時代であった。そんな状況にあって、刑事ドラマ特有の湿っぽい人情描写を敢えて廃し、当時の放送基準ではギリギリと言えるバイオレンス描写を散りばめ、徹底して体制と犯罪者とのぶつかり合いを描いた本作は映画マニアたちから拍手を以って迎えられた一方、PTAや主婦層などからは激しい非難の対象となった。だがまた一方で、本作より加入した寺尾聰と星正人がアイドル的人気を獲得し始めたことがきっかけで本来ユーザーとして見据えていなかったF1層や中高生からの支持も集まり、結果として平均視聴率が20%を超える大ヒット作となった。この数字は当時の21時台ドラマ番組としては異例の記録であり、まさに『大都会』シリーズの人気を不動のものにし、後の刑事ドラマの一ジャンルを確立したと言っても過言ではない。
[編集] 設定
部長刑事・黒岩頼介が実質的な捜査指揮権を握る刑事事件担当セクション。ヤクザまがいの暴力的な捜査方法から、マスコミ・暴力団関係者・一部の市民たちからは“黒岩軍団”の異名で揶揄されているが、本人たちはそれをプライドにすらしているようである。
- 警視庁城西警察署捜査課
- 黒岩頼介 -くろいわ・らいすけ-(演:渡哲也)
- 捜査課部長刑事。“泣く子も黙る黒岩軍団”の総帥。拳銃は主にコルトローマン2インチモデルを使用しているが、#16より状況に応じてレミントンM31ショットガンも使用。
- 32歳のA+B型。愛称は「クロさん」「デカ長」。
- 牧野次郎 -まきの・じろう-(演:寺尾聰)
- 捜査課捜査員。メカや重火器の知識に長け、狙撃の名手でもある。愛銃は44マグナム。愛称は「ジロー」。
- 虎田功 -とらだ・いさお-(演:星正人)
- 捜査課捜査員。権威や権力を嫌い、上司に反発することも。愛称は「トラ」。
- 丸山米三 -まるやま・よねぞう-(演:高品格)
- 捜査課捜査員。現場叩き上げの大ベテランで、長年の経験で培われた勘の鋭さは署内随一。愛称は「マルさん」。
- 大内正 -おおうち・ただし-(演:小野武彦)
- 捜査課捜査員。軍団の若頭的存在で、黒岩と加川の間で挟まれることも。愛称は「坊さん」「坊主」。
- 上条巌 -かみじょう・がん-(演:峰竜太)
- 捜査課捜査員。俊足を生かして被疑者を追い詰める若手刑事。愛称は「サル」。
- 宮本兵助 -みやもと・ひょうすけ-(演:苅谷俊介)
- 捜査課捜査員。九州出身で、怪力が自慢の自称「弁慶」。AB型。
- 清水英子(演:大森不二香)
- 城西署捜査課事務員。
- 加川乙吉 -かがわ・おときち-(演:高城淳一)
- 捜査課課長。出世型管理職の典型。しばしば洒落にもならないイヤミも吐いてしまう。
- その他
- 戸倉綾子(演:金沢碧)
- 東都日報城西署記者クラブ記者。黒岩と張り合うものの協力的な記者。#13までの出演。
- 新聞記者(演:武藤章生、下之坊正道、片岡五郎)
- 城西署記者クラブ新聞記者。
- 宗方悟郎 -むなかた・ごろう-(演:石原裕次郎)
- 救急指定の渋谷病院外科医師。かつては大学病院でエリートコースを歩んでいた。人望が厚く腕は抜群で、ヤクザや凶悪犯にも分け隔てがない。40歳。
- バーの女性歌手(演:牧村三枝子 - ノンクレジット)
- 黒岩の行きつけのバーで「みちづれ」を歌う女性歌手。役名も台詞もなく、ストーリーと直接関係することもなかったが、捜査の途中、黒岩が束の間の安息を得る描写で度々登場した。
[編集] 本作の功罪
本作のヒットにあやかり、各テレビ局はこぞって同様のアクション刑事ドラマの制作に乗り出し始めた。だが、それらの多くは本作の二番煎じの域を出ず、短命に終わってしまった番組も少なくない。また、刑事ドラマの脚本の質が急激に下降し始めたとする意見もある。本作に罪があるとは一概に言えないが、「本作の不用意なヒットが刑事ドラマを駄目にした」と指摘する声もある。
本作で呼ばれた「黒岩軍団」は、西部警察でも「大門軍団」として引き継がれ、転じて、石原プロモーションの所属タレントがテレビ出演の際、集団で登場しチームワークを強調する事が多かった事から、彼らおよび石原プローモーション自体を「石原軍団」と呼ぶようになった。
[編集] 撮影中の事故
36話「密告屋」の撮影中、宮本刑事役の苅谷俊介が転倒し頭部を強打するという事故が発生。その際、苅谷は一時は意識不明の重体にまで陥ったという。その後の撮影は苅谷を外した状態で続行。苅谷自身も奇跡的な回復を見せ、最終話「黒岩軍団抹殺指令」で何事もなかったかのように復帰を果たした。
[編集] スタッフ
- 制作:石原裕次郎
- 企画:加藤教夫(NTV)・小林正彦
- プロデューサー:山口剛(NTV)・石野憲助
- 音楽:高橋達也と東京ユニオン
- 作編曲:荒川達彦
- 挿入歌
- 『日暮れ坂』作詞:水木かおる、作曲:遠藤実、歌:渡哲也
- 全話で事件解決直後の黒岩ないし黒岩軍団を描くエンディングのBGMに使われた。
- 『みちづれ』作詞:水木かおる、作曲:遠藤実、歌:牧村三枝子
- 元々は渡の持ち歌だったものを当時同じレコード会社(ポリドール)に所属していた牧村がカバーしてミリオンセラーを記録、彼女の代表曲ともなった。
- ※「エンディングに主演俳優の歌を使う」、「刑事の行きつけの店で若手歌手が歌う」、というフォーマットは西部警察にも受け継がれる。
[編集] 豆知識
- 登場刑事の中で星正人演じる「虎田功刑事」(通称:トラ)は、脚本の準備段階では「村田功刑事」(通称:ムラ)だった。
- 1986年頃の本シリーズの地上波再放送以来、地上波でもCS、スカパーでも再放送の機会が無く、またビデオやDVD等のソフト販売も一切行なわれていない為、本作品は現在その視聴がとても困難な“幻の刑事ドラマ”となっている。
- 日本テレビでの1986年春(2〜3月頃)の大都会シリーズ再放送時、「闘いの日々」「PARTII」「PARTIII」をすべて夕方16時台に放送する予定だったが、結局はPARTIIIのみ深夜のナイトスクリーン枠で再放送された。
- 本作品特有の暴力描写の激しさから、現在の情勢では放送コードに引っかかると思しきエピソードも数多く、今後の地上波放送においては放映不可能となる回が出ることが予想される。
[編集] 使用車両
- これまでの大都会シリーズに登場するパトカー等は日産系の中古車を使用していたが、PARTⅢからは日産自動車が協賛になり、パトカーや一般車を含め登場する車のほとんどが日産車となる。この関係は後の西部警察まで続くことになる。
-
- 330型セドリック
-
- ・レギュラー車/331セドリックセダン後期型2000GL-E(コラムAT) 番組開始に伴って新車導入された黒パト。後の西部警察にも引き続き使用されている。
-
- ・レギュラー車/同じく新車の331セドリックセダン後期型2000DX 黒パト1台、白パト4台。白パトは日本初登場の散光式パトライトが装着されている。全車、後の西部警察にも引き続き使用されている。
-
- 230型セドリック
-
- ・レギュラー車/230セドリックセダン前期型DX 大都会PARTⅡから引き続き登場の黒パトでAT車である。PARTⅡでは一番の上級車両だったが、PARTⅢでは悪路を激走したり軽いジャンプなどにも使われた。第25話「通り魔」にてダンプカーが検問を突破する際、予想外のクラッシュを受けてしまい、それ以後フロントバンパーが後期型に変更されている。
-
- ・準レギュラー車/230セドリックセダン前期型スタンダード 黒パト1台、白パト2台。大都会PARTⅡではレギュラーのパトカーとして登場していた。見た目はアクションで大量破壊されたスタンダード型だが、ちゃんとナンバーを取得した石原プロモーション所有の非破壊車両である。しかし3台とも西部警察第1話にて装甲車(LADYBIRD)の銃撃を受けて爆発炎上している。
-
- ・アクション車/230セドリック・グロリアセダンスタンダード 大都会PARTⅢではカー・アクションにかなり力を入れている作品だがその主役ともいえる車両がこれである。パトカー、一般車、犯人の逃走車等関係なくクラッシュ、横転、爆発炎上など、かなりの台数が破壊された。ほとんどが元タクシー、教習車上がりである。ちなみにこのモデルが最初に破壊されたのは第3話「捜査中止命令」で犯人の乗るC30ローレルとのバトルでトラの黒パトが横転、弁慶の黒パトは海へダイブというシーンであった。これ以後、西部警察へかけてかなりの台数がアクションに使われることになる。
-
- S30Z型フェアレディーZ 2/2
-
- C210型スカイラインセダンGT-E
-
- ・新車導入。犯人が乗る逃走車、一般車として使用していた。色はシルバーグレーで引き続き西部警察にも登場した。
-
- 811型ブルーバードセダン
-
- ・新車導入。C210スカイライン同様、犯人が乗る逃走車、一般車として使用していた。色はホワイトで引き続き西部警察にも登場した。大都会PARTⅢ用に用意された新車は全車7月登録だがこのブルーバードだけは8月登録である。おそらく78年8月のマイナーチェンジを待っての導入になったと思われる。
-
- C230型ローレルハードトップ
-
- ・新車導入。一般車として登場したが、登場回数は多くない。色は高級感のあるマルーンでなぜか最上級モデルの2800SGLである。
[編集] 前後番組の変遷
大都会シリーズを取り上げられる形になった日本テレビではその後、松田優作の主演で、大都会シリーズも監督し、その後西部警察でもメガホンを取った村川透の監督で探偵物語を制作した。
[編集] 関連項目
日本テレビ系 火曜21時台 | ||
---|---|---|
前番組 | 大都会 PARTIII | 次番組 |
大追跡 (テレビドラマ) | 探偵物語 |