天外魔境ZERO
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『天外魔境ZERO』(てんがいまきょうゼロ)は、1995年12月22日にハドソンより発売されたスーパーファミコン用ゲームソフト。ジャンルはRPG。原案はP.H.チャダ、企画・監修は広井王子。
目次 |
[編集] 概要
天外魔境シリーズ唯一のスーパーファミコン作品。特殊チップの内蔵によって容量を拡大し、鮮明なグラフィックやアニメーション演出を可能としている。本作最大の特徴はPLG(パーソナル・ライブ・ゲーム)システムと呼ばれる、カートリッジ内に時計・カレンダーを内蔵しており、現実世界の時間によってゲーム内のイベントが変化するシステムを取り入れている事である(後述)。舞台はこれまでのシリーズよりも遥か古代のジパングとなっており、直接の関連性はほとんどない。ストーリーは日本神話をモデルとしたものとなっている。
また、天外魔境シリーズでは唯一、声優が設定されていない。
[編集] PLGシステム(パーソナル・ライブ・ゲーム・システム)
PLGシステム(Personal Live Game System)とは、ゲームカートリッジ内に時計・カレンダーを内蔵し、ゲーム内のイベントが我々の現実世界の時間と密接に関わるというシステムである。以下にその例を示す。
- 三太祭り(クリスマス)、正月祭り、ひな祭りなど、季節によって神社で開かれるお祭り
- 特定の時間・曜日にしか営業していないお店
- 特定の時間に限りアイテムの値段が割増・割引されるお店
- 卵を温める時間によって中から生まれるマもの(召喚獣)が変化する。
- プレイヤーの誕生日を祝ってくれる。
- など
但し、ゲーム内での朝・夜の時間変化は存在せず、一部イベントを除いて昼間になっている。また、祝日の設定がハッピーマンデー制度が施行される以前のものとなっており、現在の祝日とは異なっているため、プレイの際には注意されたい。PLGSは後に大貝獣物語IIにも搭載されている。
[編集] お祭り
各国の神社では季節によって様々なお祭りが行なわれる。貴重なアイテムを手に入れたりミニゲームを行なう事ができる。ただし、各国の神獣の封印を解かないと祭りは開催されない。
- 1月:正月祭り(孔雀国)
- 2月:節分祭り(火熊国)
- 3月:ひな祭り(鶴国)
- 4月:花見(孔雀国)
- 5月:こどもの日(亀国)
- 6月:ゲンブ祭り(亀国)
- 7月:七夕祭り(犬神国)
- 8月:七夕祭り(鶴国)
- 9月:月見(犬神国)
- 10月:鶴見祭り(鶴国)
- 11月:神無月のため祭りはない
- 12月:三太祭り(火熊国)
- その他、日曜日には縁日が月によって各国の神社で開かれる。
[編集] 2000年問題
ゲーム開始時に現在の月日・日時を入力するシステムになっているが、「年」の項は西暦の下二桁しか(19××年)入力できなかったため、西暦2000年以降は実際の暦とのずれが生じてしまう。
[編集] その他のシステム
- 一般のRPGでいう呪文や魔法に該当するもの。単体巻物と合体巻物の2種類がある。単体巻物は従来の呪文や魔法と同じように使用するが、合体巻物は「風」「水」「雷」「火」の4種類の巻物がそれぞれ2巻で1セットとなっており、それらを「風風」「風水」「水風」などのように組み合わせる事によって攻撃を行なう。入手方法は各国の仙人から譲り受けるものと、仲間がパーティに加わる時点で持参するものがある。
- 奥義
- 各キャラクター固有の技。体力(HP)を消費するものと技(MP)を消費するものがある。習得方法はキャラクターによって異なる。
- 出会い茶屋
- 現在でいう出会い系のようなサービス。各国の出会い茶屋にいる女性と話し、彼女らの頼みを聞いたり、土産や家を買ってあげたりする事で関係を発展させ、レアアイテムを手に入れる事ができる。
- ふたたび
- ゲームを一度クリアすると、クリアした時点でのステータスのまま物語を開始する事ができる。クリア前やクリア後にしか手に入らないアイテムも存在する。
[編集] ストーリー
太古のジパングは火熊国、孔雀国、鶴国、亀国、犬神国、竜王国の6つの国に分かれており、それぞれの国は神獣によって守られていた。古代の習わしにより、永遠の火の意志によって選ばれた火の勇者が竜王国の王となり、ジパングを代々束ねていた。
永遠の火によって弟王が竜王国の王に選ばれるが、兄の兄王はそれに反発。600年前に火の一族と戦い地獄門に封印されていたニニギによってそそのかされた兄王は弟王を殺害。地獄門の封印を解き、ニニギを復活させてしまう。復活したニニギは地獄の軍団を従えて瞬く間に神獣を封印し、ジパング全土を支配してしまう。
100日後、火影村の少年、ヒガンは永遠の火の意志によって新たな火の勇者として選ばれ、ニニギを倒しジパングを治めるべく旅立つ。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公たち
主要キャラクター3人(ヒガン、スバル、テンジン)は三種の神器がモデルとなっている。
- ヒガン(火眼)
- 火熊国・火影村に住む12歳の少年。両親は既に他界しており、祖父・ビャクエンによって、自らが火の一族である事を教えられることなく育てられていた。永遠の火の意志によって火の勇者に選ばれ、ジパングを救う旅に出る。勇敢で優しい性格だが、ゲーム中の台詞はない所謂ドラクエ型の主人公。基本装備は剣。力に優れた戦士タイプ。
- スバル(昴)
- 火の妖精。ヒスイの妹であり、ヒスイの転生した姿。ヒスイの記憶を受け継いでいるが生まれたてであるため、性格は幼くお転婆である。基本装備は玉だが、攻撃には短刀も使用する。奥義はマものと呼ばれる召喚獣を召喚する。非力であるが魔力に優れている。
- テンジン(天神)
- 600年前に地獄の軍団と戦った火の一族の一人。地獄の者であるみずきと恋仲になるが、ジュリの呪いによって自らの体の中にみずきを封印され、二心同体となってしまう。冷静沈着だがみずきの事になると激昂する一面もある。「○○、××、△△…これが何だかわかるか?」と、3つの例えを例示して謎かけのような問いかけをする事を好む。基本装備は鏡だが、攻撃には長刀も使用する。攻撃の巻物・戦闘補助の奥義に優れている。「マンダラの笛」によってみずきと入れ替わる。
- みずき(水貴)
- 地獄の者でかつての神獣の一人。ジュリ、サラの妹。ニニギのやり方に反発し袂を分かつ。その後、火の一族のテンジンと恋仲になるがジュリによって殺害され、テンジンの体の中に封印されてしまう。「マンダラの笛」によって表に出る事ができるが替わりにテンジンが体内に封印されてしまうため、テンジンに会う事ができない。テンジンよりも力に優れた戦士タイプで、戦闘補助の巻物にも優れ、双刀を武器とする。
- ヒスイ(翡翠)
- 火の妖精。スバルの姉。癒しの能力を持ち、火熊国のいのちの森で村人の農具などの錆をとるなどして生活していたが、妖精の寿命は20歳で尽きるため、スバルの卵を守るべくヒガンと行動を共にし、最期はスバルの誕生の為に残った力を使う。
- ゲンコツ、ビンタ
- ヒガンの友人。ヒガンと共に3人で火の勇者になるべく炭仙人打倒を目指すが途中で怖気づいて逃げ出してしまう。
[編集] 神獣
ジパングの各国を守る神。もともとはニニギによって生み出された存在であるが、ニニギに反発して人間・火の一族の味方となる。現在は戦う力を失っている。全部で6体いるが、かつては地獄の軍団の隊長やみずきも神獣で正確には12体である。
- 火熊(ひぐま)
- 火熊国を守る神獣。正義の神。
- 孔雀(くじゃく)
- 孔雀国を守る神獣。健康の神。
- 鶴(つる)
- 鶴国を守る神獣。美しい心の神。亀の妹。
- 亀(かめ)
- 亀国を守る神獣。愛の神。鶴の兄でミツコ姫と結婚しているが別居している。
- 犬神(いぬがみ)
- 犬神国を守る神獣。友情の神。白虎ことキンギンとはかつて親友だった。
- 竜(りゅう)
- 竜王国を守る神獣。神獣のリーダー。
[編集] 地獄の軍団
- ニニギ
- 地獄の王。かつては高天原で暮らしていたが、姉・アグニの反対も聞かず命を作り出したため高天原を追放される。600年前、地獄の軍団を率いて火の一族と戦争を起こすが、自らが生み出した神獣・人間に裏切られ火の一族によって地獄門に封印される。しかし欲に溺れる兄王をそそのかして地獄門の封印を解かせ兄王に憑依し蘇ると、地獄の軍団を率いて瞬く間にジパングを支配してしまう。名前の由来はニニギノミコトだが、日本神話のニニギは悪役ではない。また姉と対立し追放された設定はスサノオを思わせる。
- 絶対レイド
- 地獄の1番隊長。火熊を封印し、氷の力を操って氷山村を凍結させる。ヒガンの祖父・ビャクエンを殺害する。
- 地獄の赤丸
- 地獄の2番隊長。孔雀を封印し、孔雀国に赤い毒の雨を降らせる。コミカルな風貌で関西弁で話す。自身の居城である血戦の塔に入る唯一の手段である孔雀明王を破壊するためヒガンに近づく。黄丸、青丸のほか、クローンが犬神国の金銀赤丸研究所でたくさん造られている。本作のマスコットキャラクター的な扱い。
- サラ(砂羅)
- 地獄の3番隊長。ジュリ・サラ・みずきの3姉妹の次女。鶴を封印し、鶴国を砂漠化してしまう。美しいものを好み、テンジンらを石像化していた。
- ジュリ(樹里)
- 地獄の4番隊長。ジュリ・サラ・みずきの3姉妹の長女。亀を封印し、亀国を樹海化してしまう。600年前、みずきをテンジンの体内に封印した張本人。何かにつけヒガンたちの前に現われ、いらぬお節介を焼く。
- キンギン(金銀)
- 地獄の5番隊長。犬神を封印し、犬神神社を破壊、金虎神社に改装する。科学力に優れ、スーパーマネキングIIIなどを開発している。元の名を白虎といい、犬神と共にマ・ジンを開発した。
- コクビャク
- ニニギが高天原に侵攻するために火の妖精の卵から作り出した究極兵器。同じくマものの卵から作り出されたガエン、ムゲン、スイマを従えて高天原に侵攻する。
[編集] その他
- ビャクエン(白炎)
- ヒガンの祖父で火の一族。火立村を出て火影村で娘(後に死亡)と孫のヒガンと共に暮らしていた。かつて最強の剣士として知られ、その腕は現在も健在だが絶対レイドとの戦いでヒガンが現われ油断した隙をつかれて、ヒガンに永遠の火の啓示を受けるように言い残し死亡。
- シラヌイ(不知火)
- 闇の剣士。かつてのビャクエンの親友にしてライバル。竜王の騎士を選ぶ戦いでビャクエンに敗北し、ビャクエンへの劣等感からニニギにそそのかされ、感情を捨てる事によって闇の剣を手に入れる。敵とも味方ともとれぬ態度でヒガンの前に幾度も現わる。
- アグニ
- 火の一族を生み出した神。ニニギの姉。ニニギが勝手に命を生み出した事に激怒し高天原から追放する。ニニギとニニギが作り出した神獣・人間を滅ぼすために火の一族を地上に送り込むが、火の一族は神獣・人間につきニニギを殺さずに封印したために、火の一族が高天原に戻る事を許さなかった。名前の由来はインドの火神アグニ(ただしこちらは男性)。また天照大神も意識していると思われる。
- 弟王
- 永遠の火によって選ばれた竜王国の王。しかしニニギにそそのかされた兄王によって殺されてしまう。後に永遠の火そのものとなり、ヒガンにニニギ討伐の願いを託す。
- 兄王
- 弟王の兄。自分でなく弟王が竜王国の王に選ばれた事に憤慨。その心の隙をニニギにつけこまれ、ニニギの言葉にそそのかされて弟王を殺害。地獄門の封印を解くが、自身もニニギによって体を乗っ取られてしまう。
- おミネ
- 各地でセコい商売をしている老婆。
- カブキ
- 全国のお祭りを仕切っている一族。姿はカブキ団十郎そっくりで、おそらくは祖先。
- マントー
- 天外シリーズでお馴染の馬鹿猿。特定の条件を揃えると戦うことができ、勝つとペットにする事ができる隠れキャラクター。
- 今田耕司
- 隠れキャラクターとしてゲーム内に登場。
[編集] 天外魔境ZERO 少年ジャンプの章
週刊少年ジャンプとのタイアップによる抽選プレゼント用に制作された限定版(非売品)。毎週火曜日にジャンプが買えたり、集英社のビルが登場するなどのイベントが収録されている。