天璋院篤姫 (小説)
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『天璋院篤姫』(てんしょういんあつひめ)は、宮尾登美子による長編小説。1984年(昭和59年)に講談社より刊行された。
[編集] あらすじ
1863年(嘉永6年)8月21日。萩の花さかりのこの日、鶴丸城を出、江戸へと向かう1つの行列があった。その列に護られた駕籠のひとこそが薩摩藩藩主島津斉彬の養女篤子、後の天璋院であった。
篤姫=島津敬子は元は島津分家筋の姫であったが、その器量を見込まれ斉彬の養女となる。斉彬の秘命を受け、近衛篤子として江戸幕府13代将軍徳川家定の御台所となった篤姫だが、病身の夫とは一度も本当の夫婦になれぬまま、幕府内での様々な困難に直面しながらも己の使命を果たそうとする。が、やがてその「使命」に秘められた陰謀の真実に気付いてしまう…
結婚後2年とたたずして家定は死去、若い未亡人「天璋院」となった篤姫は、大奥総帥として、14代将軍徳川家茂の義母として、家茂の御台所となった皇女和宮親子内親王の姑として、尊皇攘夷の時勢のなかで衰退していく幕府のために力を尽くす。女としての幸せとは無縁(処女)のまま、明治維新後も徳川宗家を守り抜いた天璋院篤姫の、波乱万丈の生涯を描く。