太原
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太原市(たいげんし、Taiyuan)は、中華人民共和国山西省の省都。周辺を含む人口は約300万人。
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[編集] 気候
標高約800mの高原であり、年間を通じて乾燥が激しい。雨季にあたる夏場に多少雨が降るが、降るそばから地面が乾燥していくような地域であり、雨が降っても傘をさす習慣はない。乾期にあたる秋から翌年の春まで半年以上雨が降らないこともある。郊外の黄土高原の風景はまるで沙漠のよう。そのためか、常に細かい砂が降り積もるような感じであり、部屋の中にも砂が積もる。春先には砂嵐が吹き寄せ視界が悪くなる日がある。初夏には柳の綿が飛び交う。夏の昼間は30度近くまで気温が上がるが、乾燥しているので汗をかくことはない。夏の夜はエアコン不要の涼しさ。10月の国慶節頃には気温が10度近くまで下がり、長袖が必要になる。冬はマイナス30度近くまで下がることもある。冬場の石炭煤塵によりダイヤモンドダストを見ることもできる。雪はほとんど降らないが、一度降ると気温が低いために地面に凍った雪が溶けず、しばし交通が麻痺する。
[編集] 行政区域
- 6市轄区
- 小店区:太原市の東南部。空港がある。
- 迎澤区:太原市の政治、経済、文化、交通の中心。
- 杏花嶺区:太原市の東北部。
- 尖草坪区:太原市の北部。
- 万柏林区:太原市の西部。
- 晋源区:太原市の南部。
- 1県級市
- 古交市
- 3県
- 清徐県
- 陽曲県
- 婁煩県
[編集] 商業
山西省の中心として、商業活動も盛ん。1998年に山西華宇集団による本格的なデパート華宇購物中心(フアユーショッピングセンター)が開業。2000年に外資系としてはケンタッキー・フライドチキンが初めて繁華街である柳巷に開業。続いてマクドナルドなども市内に多数オープンしている。華宇超市をはじめとして、寸草心超市、美特好などスーパーマーケットチェーンが市内に点在している。2005年にはウォルマートも開業した。
[編集] 歴史
古くは晋陽と呼ばれ、春秋時代の大国晋の首都であった。 また、唐の李淵はここから唐を興した。 五代十国時代には、後唐が国を起こす拠点となったが、当時この地域は鉄と石炭の両者を算出した為、以降、後周、北宋と続く五代政権の大陸統一を支える主要な経済基盤の一つとなった。
[編集] 交通
- 概況 - 北京と洛陽の中間にあるため非常に重要な交通の要所である。近年、高速道路の整備により、省内の自動車交通の利便性が飛躍的に高まってきている。太原はその中心地である。
- 航空 - 小店区の小店鎮武宿村(市街地より約15kmのところ)に太原武宿空港があり、北京など国内各地との航空路がある。
- 鉄道 - 旅客・貨物とも省内の中心である太原駅は、30年ほど前までは現在の五一広場付近にあった。太原駅の北には巨大な貨物ターミナルがある。太原駅からは国内各地への直通列車が走っており、高速鉄道計画でも石家荘から太原までの路線建設が決定された。高速鉄道は北京から五台山を通り太原に至る直行ルートも計画中である。所要時間は3時間程度を予定している。現在、市内中心部から約8km南東にある山西大学付近の北営駅の東側を新しいターミナルとなる太原南駅として、都市再開発を含めて計画が進んでいる。北京までは512km。現在のところ夜行列車で一晩、高速バスで6時間。郊外には近年まで蒸気機関車が走っていたローカル線がある。旅客運用されていない路線が大半で、工場への引き込み線も多い。
- 高速バス - 太原駅近く、もしくは迎沢公園横のバスターミナルより国内各地へと都市間高速バスが出発している。同じ路線に複数の事業者が参入しており、サービスや値段も異なる。北京行きは15分おきに朝から夜まで出発している。所要時間は6時間。乗車券は当日購入できるが、華宇バスのように新型車を導入しグループ内のデパートで割引チケット購入ができる事業者もある。
- 長距離バス - 市内何カ所かにバスターミナルがあり、主に省内各地に向けて運行されている。高速道路を使わず、途中で客を乗降させるスタイルで、たくさんの荷物を屋根に載せていることが多い。このようなバスは、空席があれば市内の路上で客を拾うことがある。
- 市内交通 - 太原駅を中心に市内各所にバスやトロリーバス、タクシーが縦横無尽に走っている。路線バスはかつては市の交通局が運行していたが、最近は複数の事業者が運行を行っている。非接触ICカードによるバス定期券は日本より一足早い1999年より運用が始まっている。地下鉄計画があったが、実現の目処は立っていない。郊外への鉄道路線もあったが、乗客が少なく1日2往復程度のため、事実上利用されていない。
[編集] 観光
- 晋祠 - 市内から南西へ25kmのところに位置する、北魏の晋王の祠である。中国の伝統的な庭園で多くの建物が存在する。
- 双塔寺 - 絵はがきにも登場する太原のシンボルである。
- 天龍山 - 石窟が残る。
- 石碑公園 - 石碑を集めた公園である。市内西部に位置する。
- 五一広場 - 太原駅から西方向の市内の中心部にある。周囲には映画館やデパート、商店、飲食店、ホテル、銀行が集まる。広場の地下は巨大な防空壕となっている。一部が地下商店街として開放されることもある。
- 柳巷街 - 市内随一の繁華街。主要なデパートなどが集まっている。夜市が有名で、毎晩たくさんの屋台が立ち並ぶ。ケンタッキーフライドチキン太原1号店もここにある(元は出雲超市というヤオハン関連のスーパー)。
- 迎沢公園 - 市内最大の公園である。大きな湖を中心に、遊園地や水族館、ホテルなどがある。
- 児童公園 - 繁華街の柳巷と五一広場を結ぶ海子辺の通りにある。水脈的に迎沢公園と同じ湖がある。
- 臥虎山公園 - 市内北東部に位置する。1998年に岩手県の団体から贈られた2000本の桜が植えられているが、大半が枯れてしまい80本程度しか残っていない。古い邸宅の跡地にこの地では珍しいソメイヨシノの古木があり、戦中戦後の時期に植えられたという説がある。
- 動物園 - かつては市内中心部からやや外れた北西部に存在した。臥虎山には現在、市内から移転した動物園がある。
[編集] 名産品
- 黒酢
- 肉加工品
- 果物
[編集] 教育
- 山西大学 - 中国でも初期に創立した大学。
- 山西医科大学 - 埼玉医科大学と関係がある
- 山西外経学院 - 日本語教育に定評がある
[編集] 産業と大気汚染
主な産業は鉱工業や重工業。周囲に炭坑が多くあることから、郊外には石炭火力発電所も多いが、煤塵による大気汚染が深刻で、インドのコルカタを抜き世界一の大気汚染とも言われる。
[編集] メディア
- 山西日報
- 太原晩報
- 山西電視台
- 太原電視台
- 黄河電視台。
- 太原ケーブルテレビ
- 山西広播電台
- 太原広播電台
[編集] 太原に関係している有名人・著名人
- 寧浩(映画監督)
[編集] 姉妹都市
[編集] 外部リンク
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