女教師
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女教師(おんなきょうし、もしくは、じょきょうし)とは女性の教師という意である。
[編集] 概要
もともと日本語においては、海外の言語と違い女性語尾をつけてまで性差を強調する必要は無かった。これは圧倒的な男性優位社会において、女性の社会進出がほとんど見られなかったという文化的背景もある。しかし大正以降に女性の社会進出がわずかずつ見られる中で、性差を強調した方が都合のよい場合が出始めた。そのため、職業の前に女性と認識できる語を追加することが盛んに行なわれていた(女給・少女車掌など)。また、1872年(明治5年)の学制公布以来、教師は聖職であり権威ある男性の仕事という社会通念が強かったために、文字メディアでは教師は女性とわざわざ断らなければ男性と誤認されることも少なくなかった(日本初の女教師はこの年に誕生したとされている)。
いずれにせよ通俗的な表現であり、性差を強調する必要が無ければ使用されない言葉なので、文部科学省の教育指導要領を始め公文書で女教師という表現は存在していない。しかし現在でもイエロージャーナリズム的な週刊誌や性風俗産業、もしくは女性権利団体の影響下にある集会などにおいて自然に使用されている。
小説においてこの類の言葉が用いられたもので有名なものには『二十四の瞳』の「おなご先生」がある。
[編集] メディアにおける「女教師」の扱われ方
教員#メディアにおける教員像#女性教員も参照。
(なお、「教員」記事が教育に関するスタブであるため、「教員」側の記事には、性的な事柄やパワーハラスメントなど、教育に関するスタブにふさわしくない(青少年にとって好ましくない)事柄は記載されていない。)
女教師は、古くから各媒体で広く扱われてきたが、そのイメージ・設定は、児童・生徒に対して極めて愛情深く、かつ教育への情熱にあふれた、清楚な女性というものが多かった。それが、『二十四の瞳』に描かれたような小学校教師のみならず、1949年に青い山脈で原節子が演じた女教師に代表されるように、女学校など旧制の中等教育機関にも適用され、さらには新制の中等教育機関(つまり現行の中学校・高等学校)の女教師にも当てはめられてきた。
ただし、近年では、ごくせんや女王の教室などのテレビドラマにあるように、その域を超えた女教師の設定も見られるが、その一見破天荒な(あるいは極度に厳格な)態度の背後にあるものが児童・生徒への愛情であるという意味では伝統的な設定が維持されているといえる。
他の教職員(特に校長・教頭などの管理職教職員や、一般のベテラン教職員や男性教職員など)との関係の設定は、教育ドラマ度の高い(または青少年・児童向け作品としての性格の強い)作品では真面目な関係の設定が多い。つまり、時に教育方針を巡って対立したり女教師の失敗を厳しく叱責することはあっても、本質的には女教師は彼ら彼女らに温かく見守られているというものである。
反面、教育ドラマ度が薄く、専ら大人向け娯楽作品としての性格の強い作品では、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントを女教師に対して行ったり、男女の役割分担を曲解した設定のものも見られる。(極端な例;嫌われ松子の一生。マイルドな例;さくら。)
その他、後述のように、遺憾ながら性的な娯楽作品に扱われる例も多い。
[編集] 性風俗産業における使われ方
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1945年の終戦前後に男性教員が足りなくなり、代用教員として若い女学生が採用された。終戦後は男女平等の世となり女教師も増えたために、若い女教師を思慕の対象とする思春期の少年も増えた。前述の通り聖職とされてきた教師と生徒の恋愛は社会通念上一種のタブーであり、妄想を掻き立てる対象としては充分であったため、恋愛小説や漫画などの題材にされ人気を博すとともに、ポルノ小説やポルノ映画の題材としても好まれた。過去は日活ロマンポルノから現代はアダルトビデオまで「女教師」を題材とした性娯楽作品が多くつくられており、官能小説においても女教師と生徒の情交を描いたものも多い。それらには分野として「女教師もの」があり人気カテゴリともなっている。理知的・理性的な女性が性的な逸脱をする、というギャップが楽しまれるために、女教師=清楚という大前提がある。また、教師=保護者・指導者という視点から、生徒に性的な"個人授業"を行なうという痴女的要素が加わることもある。昨今では眼鏡をかけた女性に対するフェティシズム(いわゆる眼鏡っ娘萌え)とも融合しつつあり、眼鏡をかけた女性が理知的・理性的という記号として扱われている。ただし、AV女優には茶髪も多く、実際に茶髪の女教師は少数派であるために眼鏡をかけただけで女教師というには難しい場合もある。またデリバリーヘルスなどにおいても現役女教師専門を称する店が存在しているし、イメージクラブなどにおいてもそうしたプレイが存在している。