教員
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教員(きょういん)とは、学校などの教育施設で、学習者に対して教育・保育を行なう職またはその職にある者のことである。類義語に、教師、教官、教諭などがある。
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[編集] 職階・職位
学校における教員の職階については、中等教育以前の教育と高等教育で異なる。
就学前教育・初等教育・中等教育を行う学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)では、教員の職階は、教諭、助教諭、講師などである。これらの学校には、養護教諭がおかれることがあるが、養護教諭と養護学校の教員は、別物である。
高等教育を行う学校(大学(短期大学、大学院を含む)、高等専門学校)では、教授、准教授(助教授)、講師、助教、助手である。
(詳しくは教員の職階を参照のこと。)
[編集] 教員男女比率
大学を除く幼稚園・小学校・中学校・高校における男性教師と女性教師の人数は男性教師のほうが多い。保育士は女性のほうが多いが保育士は教師ではないので除く。
教師全体の割合的には男性教師6割:女性教師3~4割。
但し、幼稚園・小中学校・高校全てがこの割合ではなくあくまで全体的な割合である。全体的に見ると女性教師は幼稚園、小学校、中学校と上がっていくごとに減っていく傾向がある。
女性教師が一番多く勤務しているのが幼稚園で、次が小学校である。幼稚園では女性教師の割合のほうが高く、小学校では男女半々か男性教師が若干多めの人数いるのが一般的である。
教師全体の割合中女性教師4割の大部分は幼稚園と小学校教師で占められている。
中学校以上では圧倒的に男性教師のほうが多い。中学校では全国的に男性教師が半数以上を占めており、女性教師は2割以下に減っている。
特に高校になると極端に女性教師の人数が減少し、全国的に1割程度にまで減る。(一つの高校に教師が20名いたらそのうち女性教師は2名程度)
元々、男女差別の強かった戦前の日本でも教師には女性の社会進出が多く見られた。この為、他の職業に比べて女性への差別は低かった。但し、戦中は女性教師への職業差別も強かった。
しかし、当時も女性教師は小学校レベルに勤務することが多く中学、高校レベルでは圧倒的に男性教師が多かった。
[編集] 教員になる方法
[編集] 就学前教育・初等教育・中等教育
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校の教諭、助教諭、一般的な講師になるためには、法令により教員免許状の取得が義務づけられている。(なお、実習助手や特別非常勤講師については、法令上は教員免許状を取得してなくてもよい。)教員免許状には、普通免許状、特別免許状、臨時免許状の3種類がある。
普通免許状は、日本国内のすべてで効力を有し、教育学部などの大学の学部や文部科学大臣が指定する教員養成機関などで必要な教育を受けて取得するのが普通であるが、教員資格認定試験に合格することでも取得できる。特別免許状は、各都道府県内のみで効力を有し、社会人などに対して、教員に雇用しようとする者の推薦を受けて実施される各都道府県教育委員会の教育職員検定に合格すると授与される。臨時免許状は、各都道府県内のみで効力を有し、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限って実施される各都道府県教育委員会の教育職員検定に合格すると授与される。
主な採用形態は、公立学校の場合は各都道府県教育委員会が実施する教員採用試験があるが、私立学校の場合は、各学校によって異なる。一部では、私学教員適性検査が行われているが、採用試験ではない。
[編集] 高等教育
大学、大学院、短期大学、高等専門学校の教授、助教授、講師、助手になるためには、さまざまな方法があるが、一般に公募採用や縁故採用を経て教員になることが多い。また、多くの教員が修士や博士の学位をもっているが、実務家を据える際には学士の学位や高校卒の場合がある。最近では、博士の学位や博士課程満期退学の経験・資格を要求されることも増えているといわれる。
大学院の指導教員になるためには、文部科学省の審査を受け、いわゆる「マルゴウ教員」にならないといけないとされる。
[編集] メディアにおける教員像
日本人のほぼ全員が学校教育を通じて教員に関わる事、その影響度が大であること、全国的に広く在住することなどから、日本のテレビ・ラジオ・映画・新聞・雑誌・書籍などのメディアにおいては、草創期以来幅広いジャンルで教員が扱われてきた。恐らくは最もメディアに扱われる職業の一つであろう。
なお、男性の教員と、女性の教員では、本来「学校教育」という同じ職務に関わっているにもかかわらずメディアでは性差以上にイメージや期待される役割の異なる点が多いことが特徴的である。
[編集] 男性教員
その扱いは多岐に渡る。兄貴分的な存在のこともあれば厳格な存在として扱われることも多い。
[編集] 女性教員
女性教員も、無論男性教員と同様に教育者としてあるいは個人・生活者・女性として扱われることは言うまでもない。
しかし、明らかに女性教員、とりわけ比較的若年(主に新任期~産休取得期)の女性教員については、「優しさ」「清らかな美しさ」などが特性として特に強調され、児童・生徒の思慕の対象や、児童・生徒のよき理解者の役割を果たす傾向が強い。
このため、多くの場合、以下のような属性の持ち主として長年扱われ今に至る傾向にある。
- エピソードの中心的な人物として設定される傾向が強い。
- ルポルタージュなどでは、メインの取材対象。
- 学校時代の回想録や児童・生徒が学校生活を語る時には、その中心人物。
- アニメ・ドラマ・映画・出版作品などでは、主人公もしくは準主人公か、脇役の場合主人公に強く影響(かつ良い影響)を与える人物。
- 主人公(教員が主人公の場合は児童・生徒ら)の敵役として扱われることはほとんどない。通常善人として扱われる。
- 明るく元気な女性か、物静かで緻密な女性のいずれかであることが多い。
- 容姿については、通常は清潔感がある端正な身なりとされる。着用する衣服は、伝統的には白いブラウスと黒・紺・青系統のスカート(および同色のジャケット)など、女性教員に特有の服装であることが多い。ただし普通の女性用スーツやカジュアルな衣服を着用することも多いが、それらとて清楚さのあるものであることが多い。
- 児童・生徒らには極めて愛情深く、誠実な態度で臨み、教育に強い熱意を持っている。
- 児童・生徒との関係は比較的良好である。児童・生徒(男女とも)から積極的に思慕される(児童・生徒らが彼女に群がり歓声を上げるなどの表現で表される)ことが多い。
- 対教師暴力などの対象には、比較的なりにくい。
- 扱われる教育機関は、小学校(低学年・中学年・高学年)・中学校・高等学校にまで広く及ぶ。実際には女性教員の比率の低い高等学校についても、学園ドラマなどのフィクションでは比較的高い比率で女性教員が在籍している。
- 児童・生徒との関係は、無論学級担任が多いが、臨時教員として関わる設定も多い。また中学校(時には小学校高学年)以降の場合、教科のみで関わることも多い。
- 中学校以降の女性教員の担当科目は、英語、・国語・音楽など、文化を扱う科目の設定が多い。ただし、理科など他科目担当の女性教員が扱われることも多い。
- 女性教員を中心としたフィクションの多くは、ほのぼのとした内容が多い。無論教育問題・青少年問題などが扱われることも多いが、それらも結末は破局ではなくハッピーエンドになりがちである。
- したがって、現実の世界で多くの女性教員が持つ苦悩(教育者として・一人の女性として・その他)などはあまり深刻には扱われない。