子供の性
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子供の性(こどものせい、Child sexuality)とは児童期における性的行為の事を指し、19世紀後半頃より始まり20世紀半ば以降多くの学者により研究が進んだ学問の分野である。
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[編集] 歴史
幼児期の性に関する初期の研究は憶測が多かった。例えばジークムント・フロイトはその初めの概念として幼児性欲という概念を提唱し、エディプスコンプレックスの概念を提唱した。これは憶測に過ぎず、実質上かなりの部分で間違っているといわれる。だが、彼の画期的だった面は子供が無垢ではなく、何らかの形で性的欲望が存在すると主張した面であった。これにより、幼児期の性に関して研究を始める事が可能となったのである。
一方アルフレッド・キンゼイはそのフィールドワークを利用し実証で検証した。彼は同性愛的な行動の多さを検証し、複雑で多層的な性的指向のありようを提唱した。1953年のキンゼイ報告(女性版)では児童性的虐待(彼は思春期開始以前のものをそう呼んだ)が24%の女性に起こっている事を指摘した。現在も彼ほど大規模な研究がないため彼の研究はもっとも参考にされる研究となっている。
子供の性は、成人の性衝動のように多くの形式をとり、そして異なる社会において異なる規準によって測定される。1つの社会においては疑わしいある行動は、別の社会においては標準であるかもしれない。
[編集] 通常の性行動
幼児期の子供は、しばしば赤ん坊がどこから来るかを知りたがる。また、子供は好奇心から他の子供そして成人の肉体を探究する。この頃、子供はアタッチメントを異性の親に示す。子供は、プライベートと公の行動の間の差異の感覚を持ち始める。特に少女は、プライバシーに関して社会慣習の認識を増加する。自慰は、一般的であり続ける。この後一時、同性の友人を選択するようになる。フロイトが潜伏期と呼んだものである。
思春期に入り、性の活動は起こり始め、売春、強姦を含む社会における性に関する知識を得始め、いかに妊娠及び性感染症から自分を保護するかを学ぶ。ただ、いくらかの批判家は、最近子供が年齢層にふさわしくない性情報(少女漫画等)を省みれるようになったと主張し、特に子供に向けられたメディアにおいて、性関連の問題描写がメディアに含まれていると主張される。
性交に関しては、様々な調査がある。2005年の全国高等学校PTA連合会の約1万人を対象にした調査では男子30%、女子39%であった。2002年の東京都内の生徒約3000人の性調査によれば、高三女子の45.6%、男子の37.3%がセックスを経験済みと答えている。群馬県のぐんま思春期研究会の2000年の約6000人を対象にした調査では男子46.1%、女子42.2%であった。2000年の秋田県性教育委員会の男子197名、女子264名を対象とした調査では男子47%、女子50%と出た。
性行動に関しては地域差が見られ、青森県は特に初体験年齢が低いと指摘される。宮台真司は地方都市の青森市のテレクラでハントを試みたが、少女に特別の付加価値が付かなかった事を指摘している。畑山隆則はこの件に関し寒いからだという趣旨の事を個人的に述べている。太宰治もこの件(彼の場合性的虐待と呼んでよい)には相当苦しめられたと言われる。
また、女性のほうが男性よりも周囲の人に影響を受けやすい事が分かっている。兵庫県「青少年の性意識と性行動調査報告」によれば、性行動に対する友人の影響が気になったのは、男子の59.7%、女子の65.6%であった。
[編集] 自慰・オーガズム
アルフレッド・キンゼイによれば子供は5ヶ月の年齢からオーガズムを経験することが可能である。また、少年は思春期頃になり精液を生産し始めるまではドライオーガズムをただ経験する。
アルフレッド・キンゼイは3歳の頃までは少女が少年よりもしばしば手淫を行うことも発見した。かつては自慰は身体に悪影響だと迷信が流れたが、現在は自慰自体は全く問題ではないと考えられている[1]。
2000年に発表された日本の「財団法人日本姓教育協会:青少年の性行動」の調査によれば、オナニーの体験は大学生の男子で94%、女子で40%となっている。
[編集] 兄弟姉妹との性行為
社会学者デイビッド・フィンケラー(David Finkelhor)による796人の大学生の研究によれば、女性の15%、男性の10%は、何らかの形での兄弟姉妹との近親姦を報告し、その4分の1は虐待的なものであった[2]。Floyd Martinsonも10-15%という本調査の結果を引用しており、そしてその40%は8歳より以前に起こったものであった[3]。
[編集] 出産
出産は低年齢でも可能であるが、身体的に危険な場合もある。まれに初潮が早い女児もおり、リナ・メディナは4歳で妊娠をし1939年に5歳7ヶ月21日で出産した。中国では1910年に9歳の父親と8歳の母親の家族が誕生した[4]。
[編集] 性的虐待
大人による子供に対する性行為には様々な影響が見られる。第二次性徴期以前の場合には膣の浄化作用がさほどないため性感染症のリスクが高まる。膣口や肛門が裂ける場合も少なくない。この時期の児童に暴力的なレイプや輪姦などを行った場合子宮や直腸が破壊され、子宮摘出や直腸再建の手術が必要なこともある。これ以外にも例えば幼児の場合、何度性交を行わされても痛みに慣れが起こらず、凄まじい苦痛がもたらされたり、性器の変形が起こることが多い。全部は入らないため、一部のみの挿入となる。
アナルセックスは男児に多いが、女児も行わされることもある。女児の場合は子供に怒りを抱いた場合、もしくは妊娠を恐れた場合などに起こる。第二次性徴期以降は女性の場合は妊娠する可能性がある。女児を処女のままにしておきたい場合、もしくは児童に入りにくい場合は素股の技術を用いる。2004年、カリフォルニアには生後2ヶ月の娘をレイプした父親もいる。2006年、トルコでは生後17ヶ月の女児をレイプしたとして問題となった。
[編集] 過度の性行動
過度の性行動は性的虐待を受けた場合に起こりやすい。男児が挿入することも方法によっては可能である。男児が性被害を受けた場合、周囲の女児(もしくは男児)とセックスを行おうとする事が少なくない。ペニスのサイズが小さく、勃起が起こるが射精には至らないため、大人ほど身体的には児童を傷つけないとはいえ、周りから見ればレイプ(もしくはレイプまがい)であるのには変わりなく、相手に心的外傷を負わせてしまう可能性がある。女児もこのような性化行動を行うこともある。
だが、このような行動で必ずしも後々まで性的虐待を繰り返すとは限らない。ただ、長崎男児誘拐殺人事件のようにサディスティックな異常性行動に走る人も少数ながら存在する。強迫的自慰を行う事も多い。
[編集] 出典
- ^ Sexuality and Your Child: For Children Ages 3 to 7
- ^ Sex among siblings: A survey on prevalence, variety, and effects
- ^ CHILD AND ADOLESCENT SEXUALITY
- ^ 11-year-old child expects a baby in Moscow