完備
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数学において距離空間 M が完備(かんび、complete)であるとは、距離空間 M におけるいかなるコーシー列も M 内の点に収束することである。またこの空間のことを完備距離空間(complete metric space)と呼ぶ。
[編集] 例
絶対値による通常の距離を入れた有理数全体の集合 Q は完備ではない。例えば x1 = 1 と xn+1 = xn/2 + 1/xn で定義された数列で考えると、これは有理数からなるコーシー列であるが、収束点は √2、即ち無理数に収束しており、完備でないことがわかる。
距離空間 M を通常の距離を入れた開区間 (0, 1) と定める。このときコーシー列 {1/2, 1/3, 1/4, 1/5, ...} は M 内に収束しないので、完備ではない。しかし閉区間 [0, 1] は完備である。
通常の距離を持つ実数直線 R、複素数平面 C および、n 次元ユークリッド空間 Rn は完備である。
[編集] 定理
距離空間 M がコンパクトであることと、M が完備かつ全有界であることは同値である。