コーシー列
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数学、とくに解析学において、コーシー列(こーしーれつ、Cauchy sequence)あるいは基本列(きほんれつ)とは、距離空間 (X, d) 内の点列 {xn}n∈N であって、任意の正の数 ε に対して、ある十分に大きな自然数 n0 が存在して、m, n ≥ n0 のとき d(xm, xn) ≤ ε が成り立つもののことである。
任意の収束列はコーシー列である。 逆に、距離空間 (X, d) において、どんなコーシー列も X 内に収束先を持つとき、X は完備 (complete) であるといい、(X, d) は完備距離空間であるという。
[編集] 例
有理数全体の集合 Q、あるいは実数全体の集合 R に、絶対値による通常の距離 d を入れた距離空間 (Q, d) あるいは (R, d) において、数列 {1/n}n∈N はコーシー列である。R 内、Q 内いずれの数列と見ても収束列であって、収束先は 0 である。
整数化関数であるガウス記号 [·] を用いて、xn = [n √2]/n で定義される数列 {xn}n∈N はコーシー列である。これは R 内の点列と見れば収束列であり、実際に √2 に収束するが、√2 は有理数ではないから Q 内で収束することはない。