少年探偵団
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『少年探偵団』(しょうねんたんていだん)とは、
- 江戸川乱歩の子供向け探偵小説中に登場した探偵団。子供のみで構成されており、明智小五郎を補佐する。
- その探偵団を扱った小説のシリーズ名。また、そのシリーズの第2作目のタイトル。
- 以上の項目を原作としたテレビドラマ。
- 山本コータロー(山本厚太郎)らが結成していたフォークグループ、少年探偵団。
- 三宅裕司らが結成した劇団。人間カラオケでブームを起こした。 ⇒ 少年探偵団 (劇団)
- アニメ名探偵コナン内に登場する、子供だけで構成する探偵団。
以下、1) について解説する。
目次 |
[編集] 少年探偵団の誕生
シリーズ第一作目『怪人二十面相』において、怪人二十面相は資産家である羽柴氏の所有するロマノフ王朝の宝冠についていたダイヤを狙っていた。少年探偵団の結成を提案したのは、この羽柴家の次男羽柴壮二である。『怪人二十面相』の終わり近くで、名探偵明智小五郎が怪人二十面相にさらわれてしまう。明智がさらわれてから三日目、明智の弟子である小林芳雄少年が不安な気持ちで明智の帰りを待っていると、そこに羽柴少年が現われる。そして羽柴少年は、少年だけからなる探偵団『少年探偵団』を作り、そして少年探偵団で明智を救う事を提案した。
[編集] 少年探偵団の団員
結成時は 10 人だった少年探偵団の団員も、後の『少年探偵』の頃には 23 人に膨れ上がっている。少年探偵団を結成した羽柴壮二少年は、『少年探偵団』に再度出て以降現われていない。シリーズ中、団長の小林少年以外でよく登場する団員は井上一郎少年と野呂一平少年(のろちゃん)である。活発な少年で力も強い「井上君」に対し、その名の通りのろまな性格の「のろちゃん」の正反対の性格が面白い。また井上君やのろちゃんは『天空の魔人』で大活躍をする。
[編集] 小林少年
少年探偵団の団長。本名は小林芳雄。『吸血鬼』で明智小五郎の弟子として初登場。当初は顔見せ程度であったが、雑誌「少年倶楽部」に江戸川乱歩が少年向け探偵小説を掲載することになり、その際に少年探偵団の団長とした。この事で一役有名になり、明智小五郎と小林芳雄のコンビで親しまれている。そして、少年探偵団では、団長として大活躍をした。
作中で小林少年は 11~13 才の少年として設定されているが、活躍する時代は満州事変(1931年~)の頃から、東京タワー落成(1958年)以降まで幅広い。初期は「りんごのような顔の少年」、後期は「中学生の団長」と僅かに成長していることが描かれているが、これはあきらかにおかしい。
小林少年の「おとうさんも、おかあさんも、すでに死んでしまっている」(『仮面の恐怖王』)。また小林少年には少なくとも二人従兄弟がいる。
子供ではあるが、明智から拳銃の撃ち方を習っており、自動車の運転まで行う。
その最も有名な特技は変装術、特に女装であって、二十面相やその部下たちを尾行するためにくりかえし用いた。二十面相のアジトにもぐりこんでは捕獲され、機転を利かせて明智探偵のもとへ逃げ戻る、というパターンは、この三者の同性愛描写であったことを、のちに乱歩は認めている。
[編集] 花崎マユミ
「少年」探偵団という名前ではあるが、女性の団員もいる。『妖人ゴング』で、明智の姪である花崎マユミが初の女性団員として加わった。マユミは世田谷にある三千平方メートルの大豪邸にすんでいる。父の花崎俊夫は検事で、昔法廷で二十面相を手ひどい目にあわせた事がある。(この為『妖人ゴング』で二十面相から仕返しを受ける)。兄弟には弟の俊一がいる。
マユミは「小さいときから探偵がすきだった」ので高校卒業後、大学進学せず、明智のところで住み込みで働く事にした。多少法医学の知識もある。
マユミに関する乱歩の記述には幾つか矛盾点がある。まず『妖人ゴング』では「高校卒業後」マユミに明智の事務所に住み込む事になったはずなのに、『夜光人間』によると、住み込むようになって一年後に17才になったとある。また、彼女は明智の姪にあたるはずだが、『魔術師』によると明智の妻文代には姉妹がいない。
推理作家芦辺拓は、自身のパスティーシュの中で、「花崎マユミ」は小林少年の女装だったのではないかという説を提示している。
[編集] チンピラ別働隊
少年探偵団の団員達は普通の少年であるため、その活動は余暇を利用してのみに限られ、夜間帯・危険な活動は不可能。この不都合を補うため、小林少年が、彼を“兄貴”と慕う、上野公園に寝泊りする浮浪児たちを糾合して結成したのがチンピラ別働隊である。隊名は“浮浪児を仲間にすると、良家の坊ちゃんの集まりである探偵団員達から不興を買う”と言う理由から、別の機関にしておく必要があった為(『青銅の魔人』より)。“「チンピラ」などと言う名前は嫌だ”と言う者もいたが、小林少年が“シャーロック・ホームズが「パン屋通りのごろつき隊」というのを、やはりキミらと同様な者を纏めて作っている、だから誇りを持て(ベイカー街遊撃隊の事)”と説得して納得させた。なお、チンピラ別働隊は『大金塊』で活動資金が潤沢になった事から“特務機動隊”と改称された。
- ポケット小僧
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[編集] 七つ道具とBDバッジ
少年探偵団の団員は七つ道具を持っているが七つ道具として何を持っているのかは作品によって異なる。『怪人二十面相』によれば少年探偵団の団員は、万年筆型懐中電灯、「のこぎり、はさみ、きりなどさまざまな刃物類がおりたたみになっている」小型の万能ナイフ、「じょうぶな絹ひもでつくった」縄梯子、万年筆型望遠鏡、時計、磁石、小型の手帳と鉛筆、小型ピストル(レミントン・デリンジャー若しくはコルト・ポケット)の七つを携帯している。
この他『鉄塔の怪人』では小型写真機、指紋を調べる道具、万能鍵たばをあげている。他にも呼び子の笛、黒い糸(小穴を空けたブリキ缶にコールタールを入れたもの。犬を使った追跡に使える。明智が『人間豹』で発明)がある。また小林少年専用の道具として「どんなかぎ穴にも当てはまる針金」、手品師の使う魔法の杖などがある。
以下作成中。
[編集] 参考文献
- 明智探偵事務所を探偵する会編『少年探偵団の謎』 (いわゆる謎本) ISBN 4877190449
- 黄金髑髏の会『少年探偵団読本―乱歩と小林少年と怪人二十面相』 (本格的研究) ISBN 4795808430
- 堀江あき子編『江戸川乱歩と少年探偵団』 (貴重画像満載) ISBN 4309727220
- 『少年探偵王本格推理マガジン―特集・ぼくらの推理冒険物語』 (単行本未収録作品三篇を収録) ISBN 4334732569
- 串間努『少年探偵手帳―完全復刻版』 ISBN 4334728421