山城丸
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山城丸(やましろまる)は、日本郵船の貨物船。1963年11月竣工。10,032総トン。1960年代に計画、建造された高速貨物船4隻の内の1隻で、1962年10月竣工の山梨丸に続いて建造された船である。山梨丸の機関が17,500馬力であったのに対し、山城丸ではその低減が図られ13,500馬力となったが、球状船首(バルバス・バウ)の採用などにより山梨丸とほぼ同じ速力を発揮できた。
山城丸は日本・ヨーロッパ間の航路に就航した。1973年10月4日にキプロスのファマグスタを山城丸は出港して同日夜にシリアのラタキアに到着した。6日に岸壁に着岸して積荷を降ろし始めたが、この日に第4次中東戦争が勃発した。8日には積荷を降ろし終えたが出港が禁止されていたため山城丸は港に留まっていた。11日、港の沖でイスラエル海軍とシリア海軍の艦艇が戦闘を初め、この日の午後に港の堤防の沖約2kmに停泊していた山城丸にミサイルが命中して火災が発生した。消火には失敗し山城丸は放棄された。乗組員には被害はなく、17日に全員に日本に戻った。山城丸の復旧は断念され、スクラップとして解体された。