貨物船
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貨物船(かもつせん)とは、旅客定員13名未満の主に貨物輸送を行う船舶である。
航空機に比べて速度は遅いが、低い運賃で、一度に大量の貨物を運ぶことが出来る。また、巨大な構造物をそのまま運搬することも可能である。
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[編集] 貨物船の運行形態
- 定期船(ライナー):一定の航路を、定期的に航行する船舶。
- 不定期船(トランパー):特定の航路を定めず、貨物の有無により、その都度運航される船舶。
[編集] 貨物船の種類
- ロールオンロールオフ貨物船 (roll-on/roll-off ship) : 船内に車両がそのまま乗り入れ積み下ろしを行えるものである。荷役の時間が短いため、短時間での輸送が必要な貨物を主に輸送する。一般にRORO船(ローローせん)と標記される。カーフェリーとの違いは客室がないことである。但し、12人まで旅客定員を設けることが可能で、客室を持つRORO船もある。但し、一般旅客を乗船させることは基本的にはなく、貨物専用で運航する。
- ロールオンロールオフコンテナ貨物船 (roll-on/roll-off Container ship) : 車両のロールオンロールオフ荷役・コンテナのクレーン荷役のどちらもが可能なもの。
- コンテナ専用船 (Container Ship) : ロールオン・ロールオフ貨物船に比べ、荷役時間が少し長くなるが輸送効率が高い。コンテナ荷役用クレーンの装備された岸壁間を運行するため、荷役用クレーンを船側に装備していない。
- セミコンテナ船 (Semi-Container Ship) : コンテナ以外の貨物の輸送やクレーンの無い岸壁での荷役用に荷役用クレーンを船側に装備している。
- 多目的船 (Multi-purpose Cargo Ship) : 車両のロールオンロールオフ荷役・コンテナや一般貨物のクレーン荷役など多目的に使えるものである。
- 在来型貨物船 (Cargo Ship) : 荷役に時間がかかるが運賃が安い。船艙に障害物が無いので、特殊な形状の貨物を運ぶのに適する。
- 重量物運搬船 (Heavy Lifter) : 重量物の運搬用に船艙やクレーンが強化されている。
- 自動車専用船 (Pure Car Carrier; PCC) : 乗用車・商用車輸送にランプウェイや船艙の高さなどが最適化されている。
- 混載自動車専用船 (CGC) : 自動車と一般貨物のロールオンロールオフ荷役が可能なもの。
- 冷凍・冷蔵運搬船 (Refrigerated Cargo Carrier) : 断熱材で囲われた船艙と冷蔵冷凍設備を持つものである。
- 木材専用船 (Log (Lumber) Carrier)
- チップ専用船 (Chip Carrier)
- セメントタンカー: セメントをバラ積みで輸送するものである。
- バラ積み船 (Bulk Carrier) : 穀物などの比重の小さい粉流体の荷役のための専用設備を持つものである。
- オープンハッチバルカー: 一般貨物も運べるように船艙が全開できるものである。
- 鉱石運搬船 (Ore Carrier) : 比重の大きい鉱石の荷役のための専用設備を持つものである。
- 鉱炭兼用船 (Ore/Coal Carrier) : 可燃物である石炭の安全な運搬・荷役のための専用設備を持つものである。
- 鉱油兼用船 (Ore/oil Carrier) :
- 石油タンカー (Oil Carrier/Tanker) : 原油や燃料油などの液体可燃物を荷役・輸送するための設備を持つものである。20万トンをこえるものをVLCC、30万トンをこえるものをULCCという。
- ケミカルタンカー (Chemical Tanker) : 危険性の高い化学薬品を安全に荷役・輸送するための装備をもつタンカーである。
- LPGタンカー (LPG Carrier) : 液化石油ガスを安全に荷役・輸送するための配管・タンク・保安装置を持つものである。
- LNGタンカー (LNG Carrier) : 液化天然ガスを低温のまま輸送するため、断熱構造のタンクを持つものである。
[編集] 歴史
日本の江戸時代においては、菱垣廻船や樽廻船が大坂などの上方から江戸まで回航された。
[編集] 用語
- 船籍
- 便宜置籍船