延辺朝鮮族自治州
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延辺朝鮮族自治州(えんぺん-ちょうせんぞく-じちしゅう、ピンイン : Yánbiān Cháoxiǎnzú Zìzhìzhōu, イェンピエン・チャオシェンツー・ツーチーチョウ、 北朝鮮語・中国朝鮮語:연변 조선족 자치주, ヨンビョン・ジョソンジョク・チャチジュ、韓国語:옌볜 조선족 자치주,イェンピエン・ジョソンジョク・チャチジュ)は、中国東北部の吉林省南部に位置する朝鮮族の自治州である。
首府は延吉市。自治州の面積は42,700平方キロ、人口約220万人。現在、全人口のうち漢族が過半数以上の59%を占め、朝鮮族の割合は39%に低下している。
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[編集] 行政区域
[編集] 地理
自治州の西南部に長白山(朝鮮語では白頭山)が聳え、この山から流れ出る図們江(朝鮮語では豆満江)を境にして朝鮮民主主義人民共和国咸鏡北道と接し、東部はロシア連邦沿海地方、北部は黒竜江省牡丹江市と接する。西部は同じ吉林省の吉林市と通化市である。
長白山は朝鮮民族に取っても満州族に取っても聖なる山とされている。全体に山がちの地形で、図們江流域にわずかに平地が開ける。
[編集] 経済
延吉市は木材の生産地で、鉱物資源が豊富なことでも知られる。ロシア、朝鮮民主主義人民共和国国境に近い琿春市は辺境開放都市に指定されている。
近年、中国と韓国の国交樹立にともなって自治州には韓国からの直接投資が急増し、中国の辺境地域としては最も高い経済成長を達成している。
2003年の生産総額(GDP)は対前年比10.1%増の171.5人民元、一人当たり生産総額は7841元であった。産業構造は第一次産業14.2%、第二次産業46.5%、第三次産業39.3%となっている。対外貿易輸出は対前年比28.8%増の2.8億米ドル、輸入は5.3%増の1.3億米ドルであった。
[編集] 歴史
古代の高句麗、渤海の故地であり、とくに敦化市には渤海初期の都城・東牟山があった。渤海の壁画古墳として名高い六頂山貞恵公主墓(敦化市)はこの時代の遺跡である。渤海の都はその後、上京竜泉府(黒竜江省牡丹江市)に遷ったが、自治州内には東京龍原府(琿春市)、中京顕徳府(和龍市)が置かれていた。渤海滅亡後は女真の領域となり、明代には建州衛が置かれた。清代後期に延吉庁と琿春庁が置かれ、満州国時代には間島省が設置された。
中華人民共和国が成立すると、1952年延辺朝鮮族自治区が設けられ、1955年には敦化県(当時)を併せて拡大されたが、「延辺朝鮮族自治州」となり、二級行政区に降格された。文化大革命時期には州長・朱徳海(朝鮮族)が「地方民族主義の金持ち」として紅衛兵に迫害され、死亡したこともある。
1990年代の北朝鮮水害や旱魃と経済破綻によって、豆満江を超えて中国側に逃れる脱北者と呼ばれる人々が増加し、数万人とも言われる人々が中国や東南アジアに潜んでいると考えられるが、多くがこの自治州にいると思われ、中国政府が警戒している。
[編集] 教育
- 延辺大学 (연변대학)
[編集] 外部リンク
- 吉林省の行政区画
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