後撰和歌集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
![]() |
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
後撰和歌集(ごせんわかしゅう)は、村上天皇の下命によって編纂された第二番目の勅撰和歌集。体裁は『古今和歌集』に倣い、春(上・中・下)、夏、秋(上・中・下)、冬、恋(六巻)、雑(四巻)、離別(附 羇旅)、賀歌(附 哀傷)の二十巻からなり、総歌数は1425首。離別歌と羇旅歌とを、賀歌と哀傷歌とを併せて収めた所が独特である。
後撰和歌集の成立年時は不明だが、天暦五年(951)十月、宮中に撰和歌所が置かれ、その寄人に任命された源順・大中臣能宣・清原元輔・坂上望城・紀時文(以上、梨壺の五人)が中心となって『万葉集』の訓詁と新たな勅撰集の編纂に当たり、藤原伊尹が別当となってそれを統括した旨、史書に見えるので、遅くとも天暦末年には奏覧されたと見られる。
前代の古今集と違うのは、撰者の歌がない点である。『古今集』撰進から四十余年しか経っていないこともあり、紀貫之(81首)・伊勢(72首)・藤原兼輔(24首)ら、古今時代の歌人が再び主役を演じた。入集を果たした当代歌人の中で、上位は藤原師輔・同実頼・同敦忠などで、権門の作が多く採られているが、中務・右近ら当代の女流歌人の活躍も見られる。また、歌物語の影響を受けてか、詞書が長文化した。贈答歌など生活に基づいた「褻(け)の歌」が多いのもこの集の特色である。