循環呼吸
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循環呼吸(じゅんかんこきゅう)は、管楽器の奏法の一つである。人間の呼吸器の構造上、途中の息継ぎなしに長く息を吐き続けることは不可能だが、循環呼吸はあたかもこれを実現しているかのようにみせる演奏技法である。この技術によって長時間途切れず息を吐き続けること、すなわち長い音符やフレーズを途切れることなく長時間演奏することが可能になる。
循環呼吸は、クラシック音楽では特殊奏法とされるが、民族音楽においては北アフリカから中近東、アジア全域に見られ、特にオーストラリアのアボリジニがディジュリドゥを循環呼吸で演奏するのはよく知られている。また、ジャズ奏者には、クラシック奏者よりも循環呼吸を用いる者が多い。
循環呼吸の公式記録はサキソフォン奏者のケニー・Gによる45分47秒(1997年)で、ギネスブックに登録された。非公式にはジャズサキソフォン奏者のローランド・カークによる2時間21分といわれている。
循環呼吸の習得は、適切な手順を踏めば困難ではないが、実用までには数ヶ月から数年の時間を要する。
[編集] ポイントと目的
- 循環呼吸を用いることで、長い音符や呼吸タイミングの困難なフレーズを一息で演奏する。
- 技術次第では、数分間にわたる曲の演奏も可能である。
- 呼吸法そのものよりも、タンギングや口腔内の切り替えに労力を費やす。
- 一時的にアンブシュアが変わりやすくなるため、注意しなければならない。
[編集] 方法
- 息を吐いている状態で頬を膨らませ、その部分に空気を蓄える。
- 膨らんだ頬を元に戻す力を用いて、中の空気を押し出す。
- 押し出している時間を利用し、鼻で空気を取り入れる。
- 鼻で取り入れた空気を出す際は、それまでの空気の勢いが変わってしまったり、音が途切れてしまってはいけない。ここが一番難しいポイントである。