日本電子計算機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本電子計算機株式会社(にほんでんしけいさんき、Japan Electronic Computer Co.,ltd. 略称JECC)は、1961年に設立されたコンピュータ専門のレンタルリース会社。
沖電気工業、東芝、日本電気、日立製作所、富士通、三菱電機など、1960年代当時の日本国内の主要コンピュータ製造会社の共同出資により設立された。(設立時には松下通信工業(現・パナソニック モバイルコミュニケーションズ)も出資している)
顧客のニーズに応じて、上記の主要6社のコンピュータから自由に選択してレンタルあるいはリースを選ぶことができる。 機器のレンタルだけではなく、システム構築やメンテナンス業務、教育業務も提供している。
元々は当時のIBMがコンピュータのレンタル制を武器に世界的に市場を拡大していたのに対抗し、通商産業省が国策として日本におけるコンピュータ開発の一元化をもくろんで設立を計画した会社であるが、各メーカーが開発の一元化に抵抗する一方で、当時の各メーカーの資本力ではIBMに対抗してレンタル制を維持するのが困難であったことから、最終的に開発は各メーカーが行いつつ、同社が日本開発銀行他からの低利融資を元にレンタル業務を担当するという形に落ち着いた。
目次 |
[編集] JECCのレンタル方式の問題
JECCでは、メーカーから月額レンタル料の44ヶ月分の金額でコンピュータシステムを購入し、レンタルを行う。レンタル料の一部は保守料としてメーカー側に支払い、残りから固定資産税や諸経費を除いた部分を償却に当てる。これを簿価が当初簿価の5%になるまで続ける。償却期間は約60ヶ月である。ユーザーからシステムが戻ってくると残存簿価でシステムをメーカーに引き取らせる。これをメーカー側から見ると、最初に現金で購入されるために大きな利益が生まれるので、これについて税金を払うことになる。しかし、十分に償却しない時点でユーザーがシステムを返却してくると、その分が損失として計上されることになる。返却されたシステムを他に転売しようとしても、コンピュータの進歩が極めて急激であったため、それもなかなか難しかった。また、当初購入金額が原価と直接的な関係がない(製品価格に様々なサービスの価格を加味したものになっていた)ため、損失金額が戻されたシステムに見合わないという問題もある。
日立製作所はこれを問題視し、なるべくJECCを利用せずに自前でレンタルする方針を採った。このため、1975年にはコンピュータ部門を黒字にすることができた。JECC側も買い戻し損失準備金制度(1968年)などで改善を行っている。
[編集] 企業概要
- 設立 1961年(昭和36年)
- 資本金 657億円 (授権資本金 1134億円)
- 本社所在地 東京都千代田区丸の内3丁目4番1号
- 取締役社長 越智謙二