暗いところで待ち合わせ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『暗いところで待ち合わせ』(くらいところでまちあわせ)は、乙一の長編小説である。
幻冬舎から文庫書き下ろしとして2002年に刊行された。2006年映画化され11月25日より単館系で順次公開された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
目の見えないミチルの家に、殺人容疑で警察に追われたアキヒロという男が逃げ込み、気付かれないように潜むようになる。数日後、ミチルは誰かがいることを確信するが、「もし悪い人で、襲われるようなことがあったら、舌を噛み切って死ねばいい」と思い、気付かないふりを続ける。しかし、アキヒロは危害を加えるどころか、物音を立てないように潜んでいるだけで、むしろミチルが大怪我をしそうになるところを助けてくれたりする。そんな二人の奇妙な共同生活。
[編集] 登場人物
- 本間ミチル(ほんま みちる)
- 交通事故が原因で視力をなくした女。一年前に父を亡くしてからは、一人暮らしをしている。他人と接する事を好まず、カズエと外出する以外はほとんど家に閉じこもっており、居間で寝転んで一日を過ごしている。最初は何も知らないアキヒロの存在をいぶかしんでいたが、さりげなく助けてくれるアキヒロに次第に「悪い人ではない」と思うようになる。
- 大石アキヒロ(おおいし あきひろ)
- 一年前に、印刷会社に就職した男。人と接するのが苦手で、いつも周囲から孤立している。職場の上司の松永とは、お互いに相手を快く思っていなかった。そのせいで陰湿かつ陰険な職場イジメを受けていた。松永の殺人容疑から警察に追われ、ミチルの家に逃げ込み、気づかれないように息をひそめて潜んでいる。
- 二葉カズエ(ふたば かずえ)
- 小学生からのミチルの幼馴染。引きこもり生活を送るようになるミチルに孤独な人生を歩んで欲しくないと心から思っており、何かと理由をつけては引きこもりがちなミチルを外に連れ回す。大学を卒業したが、就職はせずアルバイトをしながら生活している(ミチルも同じ大学だったが、失明の影響で中退)。リーダーシップがあり周りを引っ張るタイプだが、小学生の頃は内気な性格だった。
- 松永トシオ(まつなが としお)
- 職場でのアキヒロの先輩。昔、新入社員をいじめていたら辞めてしまった、二股をかけている、などという話を飲み会で平気で自慢する無神経な人間。アキヒロを見下し、失敗をきつく叱責したりする。駅のホームから突き落とされ、死亡する。
- 三島ハルミ(みしま はるみ)
- ミチルの家の近所に住む。風で飛ばされたミチルの洗濯物を拾った事がきっかけで、ミチルと親しくなる。普段はイタリアンレストラン『メランザーネ』で働いている。
- ミチルの父
- ミチルが塞ぎこまないように、点字を共に学ぶ。脳卒中で他界。
- 若木(わかぎ)
- 職場でのアキヒロの後輩。アキヒロよりも一期下だが、松永に気に入られているためアキヒロよりも良い扱いをされている。
[編集] 映画
暗いところで待ち合わせ | |
監督 | 天願大介 |
---|---|
脚本 | 天願大介 |
出演者 | 田中麗奈 チェン・ボーリン 井川遥 宮地真緒 岸部一徳 佐藤浩市 |
音楽 | めいなCo. |
撮影 | 古谷巧 |
編集 | 阿部亙英 |
配給 | ファントム・フィルム |
公開 | 2006年11月25日 |
上映時間 | 129分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
allcinema | |
「暗いところで待ち合わせ」(英題:Waiting in the Dark)として、2006年11月25日から順次全国公開。
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
[編集] 原作との相違点
- ミチルはピアノを弾けるという設定で、たまにピアノを弾く。
- 大石アキヒロは「中国人のハーフで、中国育ち」という設定になっている。
- アキヒロが、ミチルが寝ている間に強くなりすぎたストーブの火を弱めるシーンがない。