最古の惑星
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2003年7月10日、NASA(アメリカ航空宇宙局)のハッブル宇宙望遠鏡の観測チームが「最古の惑星を発見した」というプレスリリースを発表した。この惑星はさそり座の方向にある球状星団M4の中にある。
[編集] この惑星の環境
球状星団M4は地球から約5600光年離れた場所にある。発見された惑星はM4の中心近くにあるパルサーをまわっている。この最古の惑星は地球のような海や陸を持つ地球型惑星ではなく、一般に木星型惑星と呼ばれるガスのかたまりのような惑星だろうと考えられている。その姿と電波などを放出するパルサーをまわることから、この惑星に生物が存在する可能性はほとんどないという。惑星の大きさは木星のおよそ2.5倍とされ、中心のパルサーから30億㎞というところを約100年という周期で公転している。
[編集] 最古と呼ばれる理由(仮説)
まず球状星団M4の中にある恒星(仮に恒星αとする)があった。恒星αは惑星を持っていた。このとき惑星と恒星αの距離は太陽と木星の距離(約8億㎞)だった。恒星は宇宙空間をそれぞれ独自の方向に運動している。恒星αも惑星とともに移動し、球状星団M4の中心近くで二つの中性子星からなる連星系に出会う。恒星αは連星系に近づいて重力のバランスを崩してしまった。
こうしてもともと連星系をなしていた中性子星の片方がはじかれてしまう(これはいわゆるスイングバイによく似ている)。はじかれた中性子星にかわって、今度は恒星αが残された中性子星と連星系をなすようになった。このようにして惑星の軌道中心は恒星αと中性子星になった。
その後恒星αは赤色巨星となった。赤色巨星はやがて燃え尽き、その芯が白色矮星となる。赤色巨星が白色矮星になる際に中性子星に表面のガスを剥ぎ取られる。
惑星は次第に公転軌道を広げていき、今の天王星ほどの位置に落ち着いた。こうしてパルサーと白色矮星を中心に公転する“最古の惑星”が誕生したというのがハッブル宇宙望遠鏡の観測チームがえがいたシナリオである。
球状星団の星々の多くは宇宙が誕生して間もないころにできたと考えられている。その年齢は100億年を超えるとされているのでこのシナリオでいけば恒星αもそれに該当することになる。惑星はふつう中心星とほぼ同時にできると考えられているので宇宙誕生間もないころに誕生した恒星αをまわるこの惑星は“最古”であるとこのシナリオは結論している。
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