朧月夜 (源氏物語)
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朧月夜(おぼろづくよ、おぼろづきよ)は紫式部の物語『源氏物語』の架空の登場人物。
[編集] 概要
この名は大江千里(歌人)の和歌「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしく(似る)ものぞなき」に由来する。当時権勢を誇った桐壺帝時代の右大臣の六の君(六番目の娘)で、弘徽殿女御の妹。弘徽殿腹の東宮(後の朱雀帝)の女御として入内する予定だったが、光源氏との逢瀬発覚により、格を下げての尚侍としての入内を余儀なくされる。
朱雀院は自身が源氏に及ばぬことを認め、朧月夜を責めなかった。源氏須磨流しの一因となった。このとおり朧月夜という名前は源氏を月に見立て、その栄光に陰りをもたらす存在であることから来ている。最初は御匣殿の別当として登華殿にあったが、後に尚侍(ないしのかみ)を譲り受け、以降は尚侍(かん)の君と名乗る。弘徽殿に住まい、朱雀帝の寵愛を一身に受けた。源氏の全盛時代には朱雀院に従った。朱雀帝出家後に再び源氏と関係を持つが、結局は帝の後を追い出家する。性格は唯美的といえようか。