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『未来日記』(みらいにっき)は、えすのサカエによる漫画。月刊少年エース(角川書店)において2006年3月号から連載中。単行本は3巻まで発売されている。なおバラエティ番組、『ウンナンのホントコ!』の同名のコーナーとは全くの無関係である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
中学2年生である天野雪輝は、いつも周囲に関わろうとせず"傍観者"であることを望み、自分が見聞きした全てを携帯電話の日記に付けている少年。ある日、自分が妄想していた存在である時空王デウス・エクス・マキナから「ゲームを始める」と言われ、それ以降彼の日記は現在から90日後の未来の分まで表示されるようになる。未来が分かるようになり調子に乗り、有頂天だった雪輝。しかしその後彼は、同じように未来日記を持つ人間が自分を含め12人いることと、その12人による殺し合いのサバイバルゲームが開かれていることを知る。雪輝は、クラスメイトで同じく未来日記所有者の我妻由乃などと共に、この殺人ゲームに立ち向かっていく。
[編集] 登場人物
[編集] 未来日記所有者
物語は時空王に選ばれた12人の未来日記の所有者同士のサバイバルゲームである。各人物には序数がつけられており、作中で所有者同士が互いを呼ぶ場合などで、その序数そのままや「○番目の所有者」などと表現される。未来日記を所有しはじめた順番だと推測できるが、作中では明記されていない。
- 1st - 天野雪輝(あまの ゆきてる)
- 本作の主人公で、中学2年生の男子。日記をつけることとダーツが趣味。本当は寂しがり屋なのに、傷つくことを怖れて傍観者でいようとしていた。自分が殺される予知を覆し逆に相手を殺し返した奇跡を超える奇跡を見せたため、他の未来日記所有者達から真っ先に狙われることとなる。性格の裏表が激しく、ふとした事で調子に乗るが、周囲に流される傾向がある。しかし追い詰められると周囲も驚く爆発力を発揮する事もある。余り他人を疑う事がなく、その所為で罠に陥る事も度々ある。1年前、両親が離婚し、母親に引き取られた。
- 雪輝を中心とした周囲の未来を無差別に予知する携帯電話「無差別日記」の所有者。全日記中最多の情報量を持つが、普段から傍観者でいようとしたため、自分自身のことが一切書かれていないという欠陥がある。
- 我妻由乃に対しては、現状ではまだ恋愛感情を抱くまでには至らず、彼女がストーカーという事実とその得体の知れない印象から心情は複雑のようだが、理由はともあれ彼女が自分を想ってくれている事実と献身的に自分を護ろうとしてくれている事は理解しており、彼女の窮地には身を挺して助けに来るような状況も多い。なお、由乃とは別に気になる人もいたらしい。
- 少年エース2007年5月号に掲載された「花子と寓話の未来日記」では、由乃のストーカーぶりについて相談するため作者の前作「花子と寓話のテラー」に登場する亜想探偵事務所へ赴く。
- 2nd - 我妻由乃(がさい ゆの)
- 中学2年生の女子で雪輝のクラスメイト。えすの検定によると(なぜか)本作の主人公。美人で成績も良く皆の憧れであるが、実は雪輝に惚れているストーカー。雪輝のためなら何の迷いもなく全てを犠牲にして行動する。普段は雪輝の事を「ユッキー」という愛称で呼んでいるが学校では他人行儀で「雪輝君」と呼ぶなどクラスメイトたちに雪輝との関係は知られたくないようだ。
- 雪輝のことだけを10分おきに記録した携帯電話「雪輝日記」の所有者。日記中の雪輝は少々美化され過ぎる傾向がある。非常に限定的な内容だが、その有効範囲はその特性上恐らく無限であり、雪輝の「無差別日記」と組むことで「完全予知」が可能となる。
- 少年エース2007年5月号に掲載された「花子と寓話の未来日記」では、亜想大介・平沼カナエ・花子らに寓話扱いされてしまう。
注意: |
ここにはより作品の核心に至る内容が詳細に記述されていますのでご注意ください。 |
- ヒロインといえる立場ではあるが、雪輝に好意を抱く理由、自宅の異常さ(電気が止められている上に死体が置かれている部屋がある)など謎が多い。料理や家事全般はお手の物。雪輝曰く、感情起伏の"スイッチ"が入ると常軌を逸した発言や行動を取る。雪輝の身に危険が迫ったり、自分の思い通りにならない事があるとよく起こるようだ。
- 5th・礼佑戦において座禅のようなポーズを組み、「豊穣礼佑」になりきったかのように彼の心理を読むなど謎の特技を併せ持つ。
- 雪輝との出会いは1年前。「将来の夢」のアンケートに何を書けばいいのか分からず、放課後の教室に居残っていた時、そこで同じく居残っていた雪輝の「家族みんなで星を見に行きたい」という彼の両親の離婚によって叶わぬ夢を肯定し、彼と「家族」として星を見に行くため「私が未来のお嫁さんになってあげる」と言った事。雪輝の母親とは意気投合し彼女から親公認カップルとみなされたが、仮に雪輝の母が悪人であったなら殺すつもりだった。その際、家の死体の事を思い浮かべているなど境遇に謎が多い。
- 3rd - 火山高夫(ひやま たかお)
- 世間を騒がせている連続通り魔事件の犯人。
- 自分が殺人を実行する際のことを記録した携帯電話「殺人日記」の所有者。未来日記となったあとは、事前に犯行方法とその結果が分かようになったため、完全なる殺人計画書とも言える。
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- まだ事情を知らなかった雪輝を襲うが、返り討ちに遭う。素顔公開前に死んだ為、マスクを外した素顔は不明。
- 表の顔は英語の教師で、雪輝と由乃のクラスにおける英語担任でもある。雪輝が未来日記所有者である事を知ったのも、雪輝の身近に居る人物であり、彼の様子に違和感を覚えたからである。
- 4th - 来須圭悟(くるす けいご)
- 通り魔事件容疑者の火山高夫を追っていた警察官。役職は課長。殺人ゲームを見逃せないため、最初に皆に狙われた雪輝を守ろうとする。9thとの戦闘後、雪輝と由乃と共に共同戦線「未来同盟」を結成する。
- 自分の仕事上の情報や行動を記録した携帯電話「捜査日記」の所有者。これにより起こる事件を事前に知ることができる。その特性上、得られるのは当人が所属する桜見署の管轄内の情報に限られるが、デウスにより所有者全員が桜見市内に配置されているため非常に有効となっている。網羅する範囲は「千里眼日記」に次いで広いと思われる。
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- 御目方教での戦闘の際、9th:雨流みねねとの取引で携帯のメールアドレスを交換し、敵であるはずの彼女に情報をリークするなど意図不明の行動を取る。
- 5th - 豊穣礼佑(ほうじょう れいすけ)
- 雪輝の母「天野礼亜」の会社の同僚の息子。4歳。
- 御目方教での雪輝達の戦いの為にその同僚が亡くなったので、雪輝の家で預かる事になった。雪輝や由乃、雪輝の母からは「れい君」と呼ばれる。
- 1stと2ndは彼にとって両親の仇だが、彼の両親は不仲だったらしく、その件に関して雪輝と由乃に対する恨みは殆ど抱いていない。むしろ雪輝と由乃に対して好意を持っており、親身に接してくれる雪輝の母にも懐く。気絶した雪輝の母を戦闘に巻き込まない配慮もした。しかしエリート志向と子供ゆえの残酷さも持ち合わせており、遊び感覚で雪輝と由乃を殺そうとする。
- 一日に3度のみ更新される絵日記「はいぱーびじょんだいありー」の所有者。殺すチャンスは日に3回しかない。
- ムルムルから未来日記所有者に選ばれた際、彼女に「宇宙人に会わせるのならゲームに参加する」という条件を出し、デウスの皿を使ったUFOで宇宙へ行った事がある。(3巻おまけ漫画)。
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- 青酸ガスのトラップを仕掛けて雪輝を瀕死に追い詰め、由乃に対して解毒剤をかけたゲームを仕掛ける。一時は由乃を追い詰めるが、命を省みない雪輝の助太刀もあり、由乃に日記ごと包丁で刺される。その後、解毒剤を由乃に渡し、彼女がいずれ雪輝と殺し合う事になると予言。自分に勝った由乃が最後に勝利する事を願って死亡する。
- 6th - 春日野椿(かすがの つばき)
- 新興宗教「御目方教」の教祖。信者達には‘御目方様’と呼ばれる。
- 1000人を超える信者達や客人の報告により"遠く"離れたものの未来が予知できる巻物「千里眼日記」の所有者。広範囲のことを知ることができるが、その内容はあくまで他人からの報告であり自身の目で視た出来事ではないため、内部からの情報操作や情報攪乱には弱い。未来の「報告」の予知という性質上日記に書かれていることは主に現在の事象だと考えられる。
- 生まれつきの弱視(左目)で右目は髪で隠れていたり閉じていたりすることが多い。自らのDEADENDの運命から逃れるため、二度もDEADENDフラグを潰してきた雪輝と手を組む。
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- 両親(おそらく前教祖)が死んでから信者たちから陵辱を受けていた。母親の形見の手毬を心の支えにするも紛失し、「こんな世界は無くていい」と思うようになり、神の座を狙う。
- 由乃が雪輝を守るべく12thを倒した直後、本性を現して雪輝と由乃を裏切り、未来日記所有者を一網打尽にしようとする。弱った由乃を捕獲し、彼女を囮に雪輝を殺そうとするが、逆に雪輝に日記を破壊されて死亡した。
- 7th - 不明
- リーゼントの男。未来が書き換わった瞬間、鏡を見るような仕草を取った。
- 8th - 不明
- 背の低い人物。性別は不明。
- 9th - 雨流みねね(うりゅう-)
- 8歳の頃からテロ活動を行ってきた筋金入りのテロリスト。躊躇も容赦も全くない残酷な人物。中東を転々として海外を逃げ回り、今は桜見市に潜伏している。18歳だが、外見は中学生と変わらない。
- 自身の逃走ルートを記録した携帯電話「逃亡日記」の所持者。安全な逃走経路を知ることができるため、日記の特性から来須圭悟と春日野椿以外捕まえるのが困難とされている。
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- 同じ犯罪者である火山高夫を追っていたが、それを打ち倒した1st=天野雪輝を狙うようになる。中学校に大量の爆弾や地雷を設置し、それを使って雪輝を殺そうとするが雪輝と由乃の日記の連携による「完全予知」の前に敗北。雪輝のダーツから携帯を守るために左目を犠牲にして逃亡したものの6thの千里眼日記とは相性が悪かった事もあり、御目方教に捕まって拷問を受ける。その際、既に失明していたと思われる左目を完全に抉り取られ、それ以降は眼帯を付けている。由乃に関しては「異常」として警戒すると共に力量を認めている。
- 御目方教での戦闘後、来須圭吾と手錠を外す交換取引としてメルアドを交換する。その後、来須から情報をリークされる事もあるようだ。
- 雪輝達が5thと交戦した後、来須圭悟の代わりに天野邸へ行き、雪輝に「2nd(由乃)は、お前の最大の”敵”だ」と忠告をした。
- 10th - 不明
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- 11th - 不明
- 12th - 平坂黄泉(ひらさか よもつ)
- 自称・正義のヒーロー。全盲だが、それを補う超聴力と強力な催眠術を持つ。正義の味方のコスプレが好き……らしいのだが、烏避けの風船の様なマスクと黒の全身タイツと言う姿は如何見ても戦闘員である。偽者による陽動作戦のシーンから鑑みるに、この衣装のスペアは少なくとも4着ある様だ。2巻のおまけ漫画によると普段からこの様な格好で過ごしているらしく、不審者として捕まったり,子供から石を投げられたり,強盗に間違えられたりと結構散々な目にあっている。
- 日記の所有者達の関係をジャンケンに例え、日記や、その所有者の性質・能力からお互いの優越が存在すると宣言した。(例:千里眼日記は逃亡日記に対して強いが、その代わり内部からの情報操作には弱い、等)
- 自身が信じる正義に基づいて倒すべき悪事と守るべき弱者を記録するボイスレコーダー「正義日記」の所有者。しかしその正義と悪の概念は「勝った者が正義、負けた者が悪」と、かなり歪んでいる。敵としていた御目方教は結局悪だったが、直感が正しかったのかたまたまだったのかは不明。尚、この「正義日記」はムルムルから50円で買ったらしい(2巻おまけ漫画)。
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- DEADENDフラグが立った後時限爆弾を飲み込み、御目方教の教祖である椿を道連れにして殺そうとするが、雪輝の巻き添えを恐れた由乃に殺される。死に際に自分に勝った由乃を「正義」と称えて散った。
[編集] その他人物
- 天野礼亜
- 雪輝の母。ゲーム会社のプログラマー。家にはほとんどいない。1年前に夫(=雪輝の父)と離婚している。
- 息子の雪輝は彼女の遠慮しない所を苦手と感じているが、人当たりが良く由乃や礼佑には懐かれていた。なお雪輝と由乃の仲を(息子の意思とは無関係に)認めている。
- 高坂(こうさか)
- 桜見中学校の時からの雪輝のクラスメイト。みねねのテロ時に生き残り、梅里中学で雪輝と再会する。
- 秋瀬或(あきせ ある)
- 世界的な探偵になるのが夢な謎の少年。雪輝の身辺について調査しており、彼に興味を抱く。
- 日野日向(ひの ひなた)
- 梅里中学のクラスメイト。雪輝と友人になるが……。
- 野々坂まお(ののさか まお)
- 梅里中学のクラスメイト。趣味は携帯での写真撮影。
[編集] 時空王関連
- デウス・エクス・マキナ
- 時間と空間の神である時空王。その姿は非常に巨大で仮面のような顔をしている。雪輝の空想した架空の存在であったはずだが、神ならば空想に住むこともできる、ということらしい。世界に刺激を求めてたびたびゲームを開いており、今回の未来日記によるサバイバル・ゲームの主催者も彼。
- ムルムル
- デウスの小間使い。小柄な女の子の姿をしている。これも雪輝が空想した架空の存在のはずだったが、実在しているようだ。
- 本編では出番が少ないが、単行本巻末の「ムルムル先生の裏日記コーナー」では、本編で語られない裏事情についての語り部を担っている。
[編集] ゲームのルール
- 未来日記を与えられた12人で行われ、生き残った最後の一人は時間と空間を統べる"神の座"を得てデウスの後継となれる。
- 未来日記は、その所有者がそれまで携帯電話などでつけていた日記に『将来日記に書かれるであろう事』が90日先の分まで表示される様になった物。一日経つごとに一日分補充される。『未来』を書き込む時点で持ち主が携帯を手放していても、(その『未来』から見て)過去の携帯に補充されないと言う事は無い。
- すべての未来日記所有者は桜見市内にいる。これはデウスが因果律を歪めてそのようにしたため。
- 未来日記(主に携帯電話)が破壊された場合、未来が破壊されるため所有者は死ぬが、その死に方はどちらかと言うと消滅に近い。
- 他の所有者が誰であるかの予備情報は無い。未来日記などを頼りに自分で見つける必要がある。
- 未来日記に書かれた通りの行動をしなかった場合、その事後にそれ以降の日記が書き換わる。他の所有者の行動によっても書き換わる。
- 所有者の誰かが他の所有者に殺されることが確定した場合、"DEAD END"として書き込まれる。日記の特性に応じて、死ぬ時点や死に方が同時に書き込まれる場合もある。こうなった場合、その未来はほぼ回避不能であり、奇跡でも起こさない限りは回避できない。逆に言えば、万に一つの可能性として回避ができる(雪輝はすでにDEAD ENDを二回回避している)。
- ENDの種類は複数あるらしく、現在“HAPPY END”の存在が由乃の日記によって確認されている。
[編集] 単行本