角川書店
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株式会社角川書店(かぶしきがいしゃかどかわしょてん、英語表記:Kadokawa Shoten Publishing Co., Ltd.)は日本の大手出版社の一つ。東京都千代田区に本社を置く。
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[編集] 沿革
1945年、国文学者角川源義により創業。国文学関連書籍に強みを持つ。1970年代に入ると、角川春樹が横溝正史を初めとする一般大衆向けに角川文庫の路線転換を図りブームを起こす。書籍・雑誌・ソフト3本柱による文字と映像のメディアミックスを推し進め、1970年代後半からは映画制作に進出、日本映画界に角川映画旋風を巻き起こした。更に、1980年代からは『ザテレビジョン』や『東京ウォーカー』などの情報誌も手がけ、ゲームソフト制作なども行うようになる。また、1980年代後半からはスニーカー文庫を展開し、のちには関連会社(メディアワークス・富士見書房)も含めてライトノベル市場の国内最大手となった。
2003年4月1日に持株会社制度になり、角川ホールディングス(現・角川グループホールディングス、東証一部上場、証券コード:9477)へ社名変更し、新規に株式会社角川書店を設立、角川ホールディングスより事業譲渡を受けた。2005年現在M&Aを加速し業容は拡大傾向にある。
[編集] 年表
- 1945年11月10日、角川源義が角川書店を創業。
- 1949年、角川文庫の刊行。同時期に他社からも続々と文庫本が創刊され、第二次文庫ブームと呼ばれる。
- 1952年、全60巻の『昭和文学全集』を発行。1巻あたり10万部を売り上げるベストセラーになり、新潮社の『現代世界文学全集』とともに、戦後の全集ブームを牽引。
- 1954年、株式会社に改組。資本金は385万円。
- 1956年、4月に『角川国語辞典』、9月に『角川漢和辞典』を発刊し、辞典に進出。
- 1957年、高校教科書『国語(総合)』で教科書を手がけ始める。
- 1965年、角川春樹が入社。
- 1966年、角川歴彦が入社。
- 1971年、角川文庫から横溝正史作品を刊行。エンターテインメント路線の開始。
- 1975年、源義が死去。編集局長の春樹が社長に就任。
- 1976年、春樹が株式会社角川春樹事務所を設立。映画製作と出版を連携させ、角川映画ブームを起こす。角川文化振興財団を設立。
- 1982年、テレビ雑誌『ザテレビジョン』創刊。
- 1983年、ゲーム雑誌『コンプティーク』創刊。PCゲームや漫画などのマニア向けメディアミックスの足がかりとなる。
- 1985年、アニメ雑誌『ニュータイプ』を創刊してアニメに進出。また、少女漫画雑誌『月刊ASUKA』を創刊して少女漫画に進出。
- 1988年、株式会社角川春樹事務所を吸収合併。以後、映画製作は角川書店本体が行なう。メディアミックス漫画雑誌『月刊コミックコンプ』を、『コンプティーク』の増刊として創刊。
- 1990年、都市情報誌『東京ウォーカー』を創刊。
- 1991年、株式会社富士見書房を吸収合併。角川書店内の富士見事業部として営業を継続。
- 1992年、副社長の歴彦が辞任。退社して株式会社メディアワークスを創業。
- 1993年、春樹が社長を解任される。歴彦が顧問として角川書店に復帰。さらに社長に就任。角川メディアオフィス、ザテレビジョンなど関係会社を吸収合併。角川書店内の雑誌事業部、ソフト事業部、雑誌編集部とする。
- 1994年、コミックコンプ休刊。少年漫画雑誌月刊少年エース創刊。
- 1995年、株式会社ヘラルド・エースを傘下に修める。新世紀エヴァンゲリオンが大ヒット。
- 1998年11月、東京証券取引所市場第二部上場。
- 2002年、映画会社大映を買収し、角川大映映画を設立。主婦の友社傘下だったメディアワークスを子会社に。
- 2003年4月1日、株式会社角川書店を持株会社角川ホールディングスへ社名へ変更。出版業務は新たに設立した株式会社角川書店に事業譲渡。
- 2004年3月18日、株式会社角川ホールディングスが株式を公開買付けし、メディアリーヴスを子会社にする。
- 2004年9月、角川ホールディングス、東京証券取引所市場第一部に移行
- 2005年10月1日、角川書店から富士見事業部を分割、新たに株式会社富士見書房を設立。
- 2006年4月1日、角川書店からウォーカー事業部と雑誌事業部のザテレビジョン部門を分割、ウォーカー事業部と角川書店北海道、ウォーカープラスを統合した「角川クロスメディア」、ザテレビジョン部門と角川インタラクティブ・メディアを統合した「角川ザテレビジョン」を新設。
- 2007年1月、角川書店を分割し、出版事業部・カルチャーコンテンツ事業部を新設する「株式会社角川書店」に、雑誌事業部を「角川マガジンズ」に、映像関連子会社とその管理を角川ヘラルド映画に、経営管理・統括部門を角川グループホールディングスに、それぞれ承継・吸収し、残った出版販売・調達等事業サポート部門を「角川グループパブリッシング」に社名変更。また角川グループホールディングスから「角川マガジングループ」を分割設立し、角川マガジンズ・角川SSコミュニケーションズを統括する中間持株会社とする。
[編集] 角川グループ
流通の合理化を目指すため、他社の営業機能を受託する(他社を編集プロダクション化する)事実上の合併を積極的に行っている。しかし問題も多く、主婦の友社とは提携解消後に訴訟問題に発展し、ベネッセコーポレーション、アーティストハウスも提携を解消している。角川本体の営業の負担の大きさも課題。また角川本体においても営業と編集が分社化し、編集は「角川学芸出版」「キッズネット」などの関連会社が行っている。
- 角川グループパブリッシング
- 角川出版販売
- 角川書店
- メディアワークス…独自の営業部も存在するが、注文受託は大部分角川グループパブリッシングが窓口となる
- トイズワークス
- データム・ポリスター
- 富士見書房(旧角川書店富士見事業部)
- 角川マガジングループ…雑誌部門統括中間持株会社
- メディアリーヴス
- ビルディング・ブックセンター…角川グループの製本・物流・受注等事業サポートを担当
- 角川映画…2006年3月1日に旧角川映画(角川大映)と角川ヘラルド・ピクチャーズ(旧日本ヘラルド映画)が合併して発足、2007年3月1日に社名変更
- 角川エンタテインメント(映像事業を角川本体から譲受)
- 日本映画ファンド
- エンジェル・シネマ
- 角川シネプレックス(旧ヘラルド・エンタープライズ)
- ユナイテッド・シネマ(住商グループ傘下)
- グロービジョン
- シネマ・パラダイス
- アスミック・エースエンタテインメント
- 日本映画衛星放送
- 角川ザテレビジョン
- 角川クロスメディア
- 角川メディアハウス
- 角川モバイル
- ワーズギア
- 角川プロダクション…角川グループのコンテンツ版権管理・営業を統括
- 角川ホールディングスUS
- カドカワピクチャーズUSA
- 角川ホールディングス・チャイナ
- 角川香港
- インターコンチネンタルグループ
[編集] 角川書店とゆかりのある会社
以下の各社は上述角川グループとの関係は薄い。
- 角川春樹事務所 - 元社長角川春樹によって設立。春樹は同社顧問になっている。
- 幻戯書房 - 角川源義の娘で作家の辺見じゅんが代表を、角川春樹が会長を務める小規模の出版社。角川春樹事務所と連携し、文芸本を手がける。
- 幻冬舎 - 角川書店の有力編集者であった見城徹によって設立。
角川書店・幻冬舎・角川春樹事務所の間を転職していく編集者もいる。
[編集] 発行雑誌・書籍レーベル
※メディアワークスなどの関連会社のものについてはここでは除外。
[編集] 雑誌
- ザテレビジョン(週刊・月刊)
- ザハイビジョン
- 東京ウォーカー・関西ウォーカーほか各地域版ウォーカー(隔週刊)
- CDでーた(月刊)
- DVD&ビデオでーた
- 別冊カドカワ
- 野性時代
- 花時間
- Sports Yeah!(サンケイスポーツと共同編集)
- 月刊ドラゴンマガジン
- ザ・スニーカー
- 月刊少年エース(毎月26日発売)
- 月刊ガンダムエース
- 月刊ASUKA
- 月刊ドラゴンエイジ
- 月刊ニュータイプ
- 月刊ニュータイプ*ロマンス
- 月刊コンプティーク
- 月刊コンプエース
- ChouChou
- 特撮エース(毎月1日発売)
- コミックチャージ(隔週、第1・3火曜日)
[編集] 書籍
- 角川文庫
- 角川ソフィア文庫
- 角川ホラー文庫
- 角川スニーカー文庫
- 角川ビーンズ文庫
- 角川ルビー文庫
- 角川ティーンズルビー文庫(休刊)
- 角川ミニ文庫
[編集] 教科書
- 高等学校教科書
- 「高等学校 現代文」
[編集] 辞典・辞書
- 角川古語大辞典
- 角川国語大辞典
- 角川書道大字典
- 角川大字源
- 角川国語辞典
- 角川漢和辞典
- 角川古語辞典
- 角川字源
- 角川新字源
- 角川漢和中辞典(貝塚茂樹ほか編)
- 角川新国語辞典(山田俊雄・吉川泰雄 編)
[編集] ゲームソフト
パソコンゲーム、特にアダルトゲームを家庭用ゲーム機用にして発売しているものが多い。 プレイステーション2
- グリーングリーン ~鐘ノ音ダイナミック~
- グリーングリーン ~鐘ノ音ロマンティック~
- とらかぷっ! だーっしゅ!!
- 少女義経伝
- D.C.P.S. ~ダ・カーポ~ プラスシチュエーション
- Fate/stay night [Realta Nua]
- 空戦II
- らいむいろ戦奇譚☆純
- 機神咆吼デモンベイン
- ナチュラル2 デュオ 桜色の季節
- キャッスルファンタジア エレンシア戦記 プラスストーリーズ
- メイプルカラーズ ~決戦は学園祭!~
- 戦闘国家 -改- NEW OPERATIONS
- シャッフル!オン・ザ・ステージ
- らき☆すた 萌えドリル
- D.C.F.S. ~ダ・カーポ~ フォーシーズンズ
- フラグメンツ・ブルー
- キャンバス2 ~虹色のスケッチ~
- EVE ~new generation~
ドリームキャスト
[編集] 協力会社
- ビースタック
[編集] メディアワークス問題
1992年、当時の社長・角川春樹の下で副社長を務めていた春樹の実弟・角川歴彦が春樹との路線対立から突如辞任し、株式会社メディアワークスを設立。これに伴い歴彦が社長を務めていた角川メディアオフィスの従業員も大挙して退社、メディアワークスに移籍するという分裂状態が発生した。その後春樹がコカイン密輸容疑で逮捕され、春樹が社長を解任されると歴彦がメディアワークスの社長を兼務する形で角川書店に復帰し、最終的にはメディアワークスを角川書店の事実上子会社化することで決着を見た(メディアワークス社側から見た経緯についてはメディアワークス項を参照)。その後歴彦は角川ホールディングス会長に就任している。
メディアワークスが角川グループ入りしたことにより、漫画・ライトノベルなどで角川書店と重複する分野が発生した。更には『ファミ通』などのゲーム情報誌を発行するメディアリーヴス(アスキーグループ)が角川グループ入りしたことにより分野の重複が一層進んだ。当面は『ファミ通』とメディアワークスが発行する『電撃』の両ブランドは存続させることとなっているが、『電撃姫』を始めとする美少女ゲーム雑誌分野は再編が始まっている。
[編集] 外部リンク
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