東武鉄道運転士懲戒解雇事件
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東武鉄道運転士懲戒解雇事件(とうぶてつどううんてんしちょうかいかいこじけん)とは、2005年11月1日、東武鉄道野田線の南桜井駅(埼玉県春日部市)~川間駅(千葉県野田市)の間で、運転士が3才になる自分の長男を乗務員室に同乗させたことにより、内規違反に問われ懲戒解雇を申し渡されたという事件。
この対応について、「厳し過ぎるのではないか」とする意見や、「当然だ」と言う賛否両論が東武鉄道へ多数寄せられた。このような厳しい処分の背景には、同年に発生したJR福知山線脱線事故や東武伊勢崎線竹ノ塚駅の踏切事故などの昨今の鉄道業界の事故多発があると思われる。
[編集] 事件の理由
東武鉄道の運転席後部には、運転席内に立ち入った場合、法律に基づき処罰されると書かれたプレートが張られている。そのため、会社側はこれを理由のひとつにしたものと思われる。(後の事件の背景も参照のこと)
[編集] 事件の背景
当時、乗務員室の扉の前に運転士の妻と子(長男と2才になる長女)がいた。なぜ家族がその場にいたかの理由については乗務終了後に家族で買い物に出かける手はずだったとのことである。南桜井駅において子供の1人が乗務員室のドアを叩き始め、運転士が子供を宥めようとして乗務員室のドアを開けたところ子供が乗務員室の中に入ってしまった。運転士は子供をそのままにして電車を走らせ、隣の川間駅に着いたところで電車から子供を降ろした。運転士はこの顛末について「叱ったら泣いて座り込んでしまった。運行を遅らせるわけにはいかないと思った」と話している。
[編集] 該当運転士のその後
解雇された運転士だが、鉄道ジャーナルの種村直樹執筆のコラムによると、「再就職先を東武当局側が運転士に同社の系列会社の企業を斡旋した」としている。