柔構造
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柔構造(じゅうこうぞう)とは、建築物に働く地震の力を柔軟な構造を用いて吸収することにより、建築物の破壊を防ぐ構造のこと。高層ビルのほか、水路や樋管などにも応用されている。
[編集] 高層ビルにおける柔構造
高層ビルにおいては、地震や強風といった様々な圧力に対して、十分な強度を確保する必要があり、そのための実現の方策として柔構造の利用が提唱された。とりわけ、地震の多い日本に1,000年以上立ち続けている例もある五重の塔の構造から構想を得たものともいわれている。
一方、柔構造に対して、外力に対して変形などを防ぐために強固の構造とする「剛構造」がある。1923年関東大震災の後昭和初期にかけて、柔構造を支持する海軍省技師の真島健三郎と剛構造を支持する東京帝国大学の佐野利器やその門下生武藤清教授による柔剛論争があったが、これは地震動の種類に基づきどちらがよいかを判断するものであり、データが十分にない当時では基本的に決着はつかなかったが、どちらの技術もその後の建築に多大の影響を与えた。
その後、日本初の高層ビルとなった霞ヶ関ビルを構造設計するにあたり、耐震構造の専門家で柔構造研究をしていた武藤清(東京大学教授; 鹿島建設副社長)は柔構造を採用し、その設計を行った。
一方で、柔構造は風圧により揺れやすくなる点もあり、現在は免震構造技術と共に用いられる。
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