栄養ドリンク
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栄養ドリンク(えいようどりんく)とは、肉体疲労時の栄養補給などを目的で販売されている飲料で、ドリンク剤とも呼ばれる。
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[編集] 概要
この飲料は、ビタミン類・アミノ酸・滋養強壮に効果のある生薬・漢方薬由来成分のエキスなど、およそ疲労回復や健康維持に効果が期待できる成分のが処方されている。
含有成分によって、以下のように分けられる:
位置付けとしては、医薬品分類の物以外は機能性飲料よりも直接的であるが、薬未満と言えよう。
オロナミンCなど、従来より一般の小売店で売られていたカフェインを含まないドリンク類は、清涼飲料水扱いされる。
[編集] 形態
販売当初はアンプルで流通していたが、薬臭さを除去し、容量を増やし、現在の外見が茶色、もしくは緑色のガラス瓶にスクリューキャップの栓というもの形態に至っている。内容量は概ね100ml前後である。色付き瓶という設定は、生薬成分の変質を防ぐという目的も在るが、その一方で医薬品に用いられるのと同じ色の瓶を用いることで、効果をアピールする目的も含まれる。このため紙箱に収められた製品でも、濃い色付きの瓶を採用している。
ときおり容量のアップや形状を工夫するなど差別化を図る意欲的な新製品も現れるが、愛用者はことに保守的なデザインを好む傾向が強いらしく、成功には至っていないようである。
[編集] 販売価格
価格は、10本パックで1本数十円から3,000円以上のものまであるが、ドラッグストアやスーパーマーケットなどのセールの目玉商品として、主に医薬部外品扱いのものが10本で500円程度からといった手頃な価格で売られているものもある。
栄養ドリンクの服用で、疲労回復効果が自覚できるのは、もっぱらカフェインによる覚醒作用と、大量に使用されている砂糖やブドウ糖によって血糖値が上昇する事によるものがほとんどであり、値段の差はあまり意味が無いという説がある。高価な物では、産出量が少なく貴重な漢方薬原料を用いたり、他の安価な製品では含有量の少ないタウリンなどの成分を強化したとする事で差別化を図る一方、安定したブランド力を背景としたり、一本ずつ紙箱に収めるという形で高級感を醸し出している。特にパッケージの豪華なものでは、専用のストローが付属している。
成分的にも価格に見合う物であろうが、その一方では価格から来る信頼感によって、消費者に好まれる製品も見受けられる。逆にゾロ品と呼ばれる成分が同じで価格の安いコピー商品では、パッケージを廃する等して低価格化を推し進めているが、それにより高級感が損なわれ、消費者に今一つ信用されないケースも散見される。
[編集] 服用上の注意
栄養成分の多いものは医薬品として、長らく薬局やドラッグストアの店頭でのみ販売が行われていたが、2001年頃の規制緩和により、主力商品が医薬部外品に変更されてコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでも販売されるようになった。
ただし、栄養ドリンクといえども成分中には、多量の摂取が好ましくないカフェイン(コーヒーの10倍以上の濃度)などが含まれている。他方では生薬等の薬効成分抽出のためにアルコール(エタノール)を使用しており、これに由来するアルコールが0.1~1%程度含まれる商品もある。この結果、酒気帯び運転の取締り(アルコール検査)の際にアルコール分が吐息から検出され、騒動となるケースもあるとされる。
少なくとも乳幼児の服用や、1日に2本以上飲むことは避けた方が良いとされる。しかし近年ではそれら幼児・児童用や大人向けにもにカフェイン・アルコール等を含まない物も発売されており、児童や幼児向けにはそのような製品を選択した方が無難だろう。
なお、水溶性ビタミン類は過剰に摂取しても尿の栄養価を高めるだけなので余り心配しなくても良いが、これら栄養ドリンクには過剰摂取することで健康を害する成分が含まれる物も多いのも事実である。過剰摂取しても、それだけ余計に健康になれる訳でも無いので、飲む量は注意が必要とされる。
[編集] 海外進出
日本ではポピュラーな栄養ドリンクであるが、海外では事情が異なり、韓国やタイなどの東南アジア、中東諸国で流通している以外は目立つほどの流通量ではない。シェアトップの大正製薬などが、海外、特にアメリカ市場への開拓に乗り出したことがあるが、ワーカー・ホリックのイメージが強く敬遠されたと言われる(近年、アメリカではアスピリンのガブ飲みや、精神科医の診察をステイタスと感じるような世代も出現しており、今後、受け入れられる可能性はある)。
[編集] 主な栄養ドリンクの種類
- リポビタンDシリーズ・ゼナシリーズ・アルフェシリーズ(大正製薬)
- ユンケルシリーズ(佐藤製薬)
- チオビタシリーズ(大鵬薬品工業)
- エスカップ(エスエス製薬)
- リゲインシリーズ(三共→第一三共ヘルスケア)
- アリナミンドリンクシリーズ (武田薬品工業)
- グロンサン・新グロモント(中外製薬→ライオン)
- アスパラシリーズ(田辺製薬)
- チョコラBBドリンクシリーズ(エーザイ)
- ホリエナジー(ライブドア・東洋新薬)→販売中止
- グロンビターシリーズ・ビタシーシリーズ(常盤薬品工業)
- レッドブル
[編集] その他
栄養ドリンクはドラッグストアやコンビニ等の他、配置販売業(所謂、置き薬)でも医薬品・医薬部外品ともPB商品として取り扱っている会社があり販売員が配置薬と一緒に配置してゆく場合がある。ケースで置き込んでまれにトラブルになる場合がある。