森林戦
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森林戦(しんりんせん)とは熱帯雨林など植物が高密度に生い茂った森林地域における作戦・戦闘をいう。熱帯雨林における森林戦をジャングル戦と呼ぶ場合もある。
[編集] 概要
森林戦は植物によって視界が確保できないため、大規模な会戦は行えず、遭遇戦を繰り返しながらの戦闘になる。また伏撃や罠を仕掛けるのに適しているため、ゲリラ戦を行う作戦戦闘としても歴史上しばしば利用されてきた。
[編集] 特徴
森林戦は気温、地形、天候などの面で作戦行動を大きく阻害する。その特徴は正規の軍隊にとってはありがたくないものであるが、ゲリラにとってはいくつかの点で優位に立つ。
- 地形は特に森林での移動や戦闘時の機動に大きく影響する。多くの植物群が自生する地域を隊形を組んで移動しようとすると、隊形が乱れたり、奇襲攻撃にあった際に速やかな指揮がとれなくなる。また射撃をする際においても、多くの樹木の幹や葉が障害物となり、弾道が不安定になったり、敵を見失うことになる可能性があり、攻撃しにくい。また多くの植物によって偽装を施しやすく、伏撃に適した環境が多くある。森林戦で道を使用して移動する危険性はここにあり、森林地域で伏撃を受けた場合の反撃は非常に困難である。加えて森林地域は戦車や装甲車などの車両の進入を拒み、迫撃砲や航空機による支援攻撃の精度を落とす地形であり、近代的な兵器がうまく機能せず、歩兵が主力の戦闘となることが多い。
- 森林地域、特に熱帯雨林における気候は兵士たちの士気を大きく削ぎ、健康を害する。特に作戦地域の環境に慣れていない兵士たちにとって作戦地域の気候による熱帯雨林特有の病気、害虫やぬかるんだ地面の移動、高温多湿による熱中症などさまざまな障害は戦闘において命取りにもなる。